本間光丘

本間光丘（ほんま みつおか）

本間光丘は、享保17年（1733年）に生まれ、享和元年（1801年）に没した江戸時代の豪商です。出羽国酒田（現在の山形県酒田市）において、酒田本間氏の3代目当主として活躍しました。

生涯

光丘は、通称を久四郎といい、後に士分格を得てからは四郎三郎と名乗りました。父は2代目当主である本間光寿（庄五郎）で、相場師として知られる本間宗久（久作）は叔父にあたります。光寿が隠居後、光丘が家業を継ぐまでの間は、宗久が当主代理を務めました。

本間家のルーツは相模国愛甲郡本間村にあり、鎌倉時代に佐渡へ移住、その分家が出羽庄内へ移ったとされています。永禄年間に本間光重が酒田に移り住み、庄三郎の代には酒田の長人（おさびと）となり、家は繁栄しました。

光丘もまた長人となり、先祖の遺志を継ぎ、地域社会への貢献を重視しました。経済に通じ、最上川の治水事業に尽力したほか、天明の大飢饉の際には私財を投じて救済活動を行いました。宝暦8年（1758年）には、酒田の西浜に防砂林を造成するなど、その功績は多岐にわたります。これらの功績が認められ、宝暦12年（1762年）に庄内藩から町年寄に任命され、明和4年（1767年）には士分格に列せられ、小姓格となりました。

酒田港口に灯台を建設したり、藩士の借財を整理し、本間家の低利な資金に借り換えさせたりするなど、藩政にも深く関わりました。明和5年（1768年）には、酒田・鶴岡両城の普請掛（ふしんがかり）を命じられ、備荒貯蓄米24000俵を献上し、その功績により500石30人扶持を与えられました。

庄内藩の江戸藩邸が焼失し、徳川家慶の加冠の謝恩使を命じられるなどして藩財政が窮乏すると、安永4年（1775年）には藩主・酒井忠徳の命により、光丘が藩の財政改革に携わることになりました。光丘は尽力しましたが、妬む者もおり一度は辞任。しかし、藩主の命により再び財政改革にあたり、大きな成果を上げました。

天明8年（1788年）に藩士が富士川、大井川、安倍川の修治を命じられた際には、藩命により大坂の豪商から資金を借り入れ、事業を成功させました。寛政3年（1791年）には、米沢藩主の上杉治憲（鷹山）が隠居していた莅戸善政を中老として登用。寛政6年（1794年）に莅戸は光丘を酒田に訪ね、金穀を借りて軍備を整え、田地の開墾などを行いました。鷹山の治世が大きく向上したのは、江戸の三谷、越後の渡辺に加え、光丘の貢献が大きかったとされています。莅戸は、光丘の死に際し弔文を送ってその死を悼みました。また、光丘の子である光道の養子、本間光暉の代に、庄内藩が幕命により石高が半分の長岡へ国替えを命じられた際、藩の移転費用を捻出するため本間家が他藩や商人に借金を申し込むも断られる中、米沢藩のみが旧恩に報い資金を提供しました。

寛政4年（1792年）には、北海の警備のために大砲10門を献上し、海防に貢献しました。

没後

その功績を称えられ、大正7年（1918年）に正五位を贈られました。山形県酒田市には、光丘を祀る光丘神社が鎮座しています。

関連項目

* 酒田市立図書館#光丘文庫

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