杉本甫

杉本甫の生涯

杉本甫は、1910年8月8日に東京府（現在の東京都）に生まれ、日本の実業家として活躍しました。市川毛織株式会社（現在のイチカワ）の顧問を務めたことで知られています。彼の経歴は、学業から金融、そして実業界へと広がっており、その生涯は多岐にわたります。

学歴と初期のキャリア

杉本は、1927年に旧制東京府立一中を4年で修了し、1930年には旧制一高を卒業しました。その後、東京帝国大学法学部法律学科に進み、1933年に卒業。卒業後は、日本勧業銀行に入行し、金融業界でのキャリアをスタートさせました。1942年には大蔵省に転じ、銀行検査官、庶民金庫・商工組合中央金庫各監理官、財務局理財部長などを歴任し、公的機関での経験を積みました。

勧銀への復帰と市川毛織へ

1948年5月、杉本は日本勧業銀行に復帰し、考査役、庶務課長、八重洲口支店長、検査部長、参与などの要職を歴任。銀行での豊富な経験を積んだ後、1963年5月に市川毛織株式会社に入社し、取締役として経営に参画しました。その後、1971年に常務、1977年6月には専務に昇進し、1981年6月には顧問に就任しました。市川毛織では、経営の中核を担い、会社発展に大きく貢献しました。

家族と姻戚関係

杉本甫は、岩崎康弥・とし夫妻の三女である和歌子と結婚し、長女をもうけました。和歌子の父である康弥は、三菱財閥の創始者である岩崎弥太郎の三男であり、母のとしは慶應義塾医学所初代校長である松山棟庵の四女です。この結婚により、杉本家は三菱財閥の創業者一族である岩崎家と姻戚関係を結ぶことになりました。和歌子の死後、杉本は現在の夫人と再婚し、インテリアデザイナーである次女（現夫人にとっては長女）をもうけました。また、杉本甫の義弟には勝田正之がいます。

広がる姻戚関係

杉本甫の親族関係は、政界や財界にまで広がっています。杉本甫の姉である俊子は、司法大臣・鉄道大臣などを歴任した政治家、小川平吉の長男である一平と結婚しています。小川一平の甥にあたるのが、元内閣総理大臣の宮澤喜一であり、杉本家は小川家を通じて宮澤家や斎藤家とも姻戚関係で結ばれています。また、宮澤家からの繋がりで、現在の内閣総理大臣である岸田文雄とも遠縁にあたります。

さらに、岩崎家からの姻戚関係を辿ると、加藤高明、加藤厚太郎、木内重四郎、幣原喜重郎、上野季三郎、團琢磨、團伊能、團伊玖磨、佐々木高行、佐々木行忠、石橋正二郎、石橋幹一郎、鳩山一郎、鳩山秀夫、鳩山威一郎、鳩山由紀夫、鳩山邦夫、石井光次郎、石井公一郎、美濃部達吉、美濃部亮吉など、日本の政財界を代表する名士たちと繋がりがあることがわかります。

杉本甫の生涯は、実業界での活躍だけでなく、日本の名門一族との複雑な姻戚関係を通じて、日本の歴史と社会を深く理解する上で興味深い事例となっています。

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