李昶 (元)

李昶の生涯と業績

李 昶（り ちょう、1203年 - 1289年）は、金朝とモンゴル帝国（大元ウルス）で活躍した著名な漢人官僚です。出身地は東平府須城県で、彼の字は士都です。彼は、東平府学において教鞭を執り、また『宋元学案』では「泰山学案」の一部として言及されています。泰山学派の終焉に関与したとされ、彼の足跡は中国の教育史や政治史に色濃く残っています。

幼少期と初期の経歴

李昶の父、李世弼は金朝の貞祐年間に三度も科挙を受けましたが、全て落第しました。李昶が成長すると、父子共に1218年に科挙に挑戦し、彼は優れた成績で第二甲第二人に合格します。李世弼は第三甲第三人となりました。しかしこの頃には、モンゴル軍の侵攻によって金朝の衰退が始まっていました。李世弼は金朝に仕官することが叶わず、地元の政治組織である厳実の下で東平教授として留まります。一方、李昶は徴事郎・孟州温県丞の地位を得て、1224年には儒林郎、1226年には漕運提挙を歴任しました。

モンゴル軍との関わり

モンゴル軍による第二次金朝侵攻が始まると、李昶は郷里に帰り、地元の漢人世侯である厳実に仕え、行軍万戸府知事としての地位に昇進します。厳実の死後は、その息子の厳忠済に仕官しましたが、彼が怠慢になっていくのを見かねて政治に対する姿勢を諫めました。しかし、厳忠済はこれを受け入れず、ついに李昶は職を辞し、後に李謙や馬紹、呉衍といった学者たちに教示する日々を送ることとなりました。

クビライとの出会い

1259年、クビライが南宋領に侵攻の際、濮州を通った際に李昶の名声を耳にし、彼を召し出します。そこで治国や兵法に関する知見を尋ねられ、李昶は賢人を用いること、法の重要性、無駄に人を殺さないことを説きました。クビライはこれらの意見を受け入れ、李昶はその後、クビライの本拠地である開平府に召し出され、国政に参加することになります。

政治的貢献

1260年、クビライが皇帝に即位した後、李昶はさらなる要職へと昇進しました。彼は行省による厳しい税徴収を和らげるよう丞相の王文統に働きかけました。1261年には、内戦が収束に向かう中、政治に対する熱意を失わないようにと進言を行い、その見識が評価されました。やがて厳忠済の失脚後、その後継者である厳忠範から招かれ東平に赴くことになり、翰林侍講学士や行東平路総管軍民同議官の地位を得ます。

晩年と業績

1264年に還転法が実施されると、従来の漢人世侯制度は廃止され、李昶も職を失いますが、1268年には吏部礼部尚書に任命され、再び国政に関与しました。1269年には尚書省が新設され、その際に老齢を理由に職を辞すこととなりました。以降もさまざまな官位が与えられましたが、李昶はそのほとんどに赴かなかったとされています。1285年には再度仕官の申し出がありましたがこれを断り、田千畝を下賜されました。1289年、李昶は87歳で息を引き取り、その生涯を閉じました。

著作と影響

李昶は『春秋左氏遺意』や『孟子権衡遺説』といった著作を残しましたが、現存するものはありません。彼の教育及び政治への貢献は、後世にわたって語り継がれ、その影響力は計り知れません。

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