李暠

李暠（り こう）：西涼を打ち立てた英雄

李暠（351年 - 417年）は、五胡十六国時代の西涼を創始した人物です。字は玄盛、諡号は武昭王。彼は、名門である隴西李氏の出身であり、その家系は秦の時代の名将・李信にまで遡るとされています。

生涯

李暠は、隴西李氏の一族である李昶の子として生まれました。隴西李氏は、河西地方において漢族社会の名族として知られていました。李暠は、幼い頃から学問を好み、経史に通じ、武芸にも優れていました。また、性格も沈着で大らかであったため、周囲の人々からの信頼も厚かったと伝えられています。

397年、後涼の建康郡太守であった段業が後涼から独立し、涼王を称しました。これが、後に北涼と呼ばれる政権です。398年、段業は敦煌を支配下に置き、敦煌郡太守に孟敏を任命。李暠はその配下として效穀県令に任じられました。その後、孟敏が病死すると、李暠は周囲の推挙を受け、敦煌郡太守となります。

400年、北涼の晋昌郡太守であった唐瑶が北涼から離反し、李暠を大将軍・涼公に推戴しました。これにより、西涼が成立し、李暠はその初代君主となりました。

西涼の君主となった李暠は、北涼からの侵攻を防ぎつつ、領内の安定に尽力しました。農耕や養蚕を奨励し、西域との貿易を盛んに行い、国家の経済的な基盤を固めました。また、漢族社会の伝統を重んじ、学校を設立して儒教を振興するなど、文化的な発展にも力を注ぎました。

417年、李暠は病に倒れ、67歳でこの世を去りました。彼の死後、次男の李歆が後を継ぎました。

李暠と唐王朝

唐王朝の創始者である李淵は、李暠の八世孫を称していました。そのため、唐代に成立した歴史書『晋書』では、李暠の名を避けて字である李玄盛と記されています。しかし、歴史学者の宮崎市定は、唐王朝の李氏は異民族系の出自である可能性が高いと指摘しており、李暠との血縁関係はないと考えられています。

また、李暠の子孫は、北魏によって西涼が滅ぼされた後も、特別な計らいによって北魏の庇護を受け、命脈を保ったとされています。唐代の詩人である李白は、李暠の9代目の直系の子孫であると伝えられています。

宗室

李譚（太子）
李歆（後主）
李譲
李愔
李恂（末主）
李翻
李豫
李宏
李眺
李亮

子孫

* 李翺（唐代の文人）

李暠は、西涼という短い期間しか存在しなかった国家の創始者でありながら、その後の歴史に大きな影響を与えた人物として、記憶されるべきでしょう。

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