李泌

李泌の生涯と業績

李泌（り ひつ）は、中国の唐代において活躍した政治家であり、文人としても名高い人物です。彼は722年に生誕し、789年に死去するまでの68年間にわたって、唐の玄宗、粛宗、代宗、徳宗の4人の皇帝に仕えました。本貫は遼東郡の襄平県、現在の遼寧省にあたります。李泌の字は長源で、八柱国李弼の六代目の孫にあたります。このため、彼は古代からの名門の家系に生まれました。

李泌は非常に幼少のころからその才能を示しました。特に、7歳の時には「方円動静」と題する賦を作成し、これを見た皇帝玄宗に高く評価されました。経書や史書に精通し、『易経』を深く学んだことで、李泌は詩作にも秀でた才能を示し、当時の重臣たちにもその能力を認められました。

李泌は天宝年間に皇太子李亨（後の粛宗）の側近となるが、楊国忠の嫉妬によって流罪となり、蘄春郡に送られます。その後、隠遁生活を送りつつも、756年に粛宗が皇帝に即位するや否や、再び政界に返り咲きました。彼は銀青光禄大夫として大きな権力を手にし、その影響力は宰相をも上回るものとなりました。

李泌は特に安史の乱の最中に重要な策を提案し、李光弼と郭子儀を各地に派遣することで反乱軍を削減しようとしましたが、最終的には粛宗の意向で長安の奪還が優先され、その提案は実現しませんでした。彼はその後、再び隠遁生活を送りましたが、代宗の時代には翰林学士に任命され、更なる職務を重ねます。

李泌は様々な官職を歴任し、その優れた行政能力を発揮しました。杭州刺史に任命された際には、繊維産業と造船業が発展し人口が増加する中、生活用水を確保するために西湖から水を引く計画を実施しました。これにより市民の生活環境が改善され、彼の手腕が発揮されました。

また、李泌は財政改革についても提案し、税収の管理や公務員の俸給問題に取り組みました。彼は、中央と地方の官僚の俸給の不均衡を是正するために努力し、一定の成果を上げましたが、権力者たちの妨害に遭ったことも少なくありませんでした。李泌はその知恵と才能でしばしば権力者たちを助ける一方で、時には彼らから疎外されることもあったのです。

貞元5年、68歳で李泌は亡くなりますが、彼の死後もその名声は続き、太子太傅の称号が追贈されました。著作には『文集』があり、彼の思想や詩文は後世に影響を与えました。

李泌は鄴侯書院という隠居所を持ち、隠遁生活の中で多くの書物を集めました。彼の印章には「端居室」と刻まれており、これは李泌にのみ与えられた特別なものでした。

彼の人生は、権力争いや歴史的な出来事と密接に関連しており、その知識欲と行政能力は現在においても評価されています。李泌の業績は、単なる政治家としての功績にとどまらず、文化や思想にも大きな影響を与えたといえるでしょう。

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