八柱国

八柱国：西魏を支えた八人の柱

八柱国（はちちゅうこく）とは、中国の西魏時代に、特に重要な地位にあった8人の将軍を指す言葉です。彼らは柱国大将軍という称号を与えられ、西魏の政治と軍事を支えました。中でも、宇文泰（うぶんたい）は北周を建国し、他の7人もその功績によって重用されました。

八柱国の成立と役割

柱国大将軍は、元々、称号である「柱国」と官職である「大将軍」が組み合わさったものでしたが、北魏後期に爾朱栄（じしゅえい）がこの地位を与えられたことで、単なる軍人の称号を超え、国家の最高指導者の地位を示すようになりました。

その後、北魏が東西に分裂すると、それぞれの王朝で柱国大将軍が任命されました。西魏を率いた宇文泰は、自らの勢力を強化するために、皇族や武川鎮軍閥（ぶせんちんぐんばつ）出身の将軍たちにも柱国大将軍の地位を与えました。そして、548年に宇文泰が官制改革を行う頃には、8人の柱国大将軍が揃い、彼らは「八柱国」と呼ばれるようになったのです。

八柱国は、西魏・北周における府兵制（ふへいせい）の基礎を築きました。彼らの下には十二大将軍（じゅうにだいしょうぐん）が、さらにその下には二十四開府（にじゅうしかいふ）が置かれ、それぞれが軍団を率いました。また、八柱国を輩出した家柄は、社会的に高い地位を占めました。

八柱国の構成員

八柱国は以下の8名です。

1. 宇文泰
2. 李虎（りこ）
3. 元欣（げんきん）
4. 李弼（りひつ）
5. 独孤信（どっこしん）
6. 趙貴（ちょうき）
7. 于謹（うきん）
8. 侯莫陳崇（こうばくちんすう）

これらの将軍たちは、それぞれ重要な役割を担い、西魏・北周の発展に貢献しました。

八柱国を巡る問題

八柱国の序列については、史料によって異なっている点があります。特に、李虎の順位は、『周書』などの史料と、『通典』や『資治通鑑』などの史料で異なっています。これについては、唐の時代に編纂された『周書』において、唐の皇祖である李虎の順位が操作された可能性が指摘されています。また、「八柱国」という言葉自体が、唐代の創作であるという説も存在します。

八柱国の民族的出自

八柱国のメンバーの多くは、鮮卑（せんぴ）または武川鎮の出身です。宇文泰、元欣、独孤信、于謹、侯莫陳崇は鮮卑であり、宇文泰、李虎、独孤信、趙貴、侯莫陳崇は武川鎮の出身です。鮮卑は中国北方の遊牧民族であり、武川鎮は北魏の時代に、北方からの侵略を防ぐための重要な拠点でした。

このように、八柱国は鮮卑や武川鎮出身の者が中心となって構成されており、彼らが西魏・北周の政治・軍事を支えたことがわかります。

八柱国間の婚姻関係

八柱国の一人である独孤信は、娘を宇文泰の子や李虎の子、さらには十二大将軍の一人である楊忠の子に嫁がせています。これらの婚姻関係は、後に北周、隋、唐の王朝が成立する上で重要な役割を果たしました。八柱国と十二大将軍の家柄は、婚姻関係を通じて強固に結びついていたと考えられます。

まとめ

八柱国は、西魏・北周の時代に、政治・軍事の要職を担った8人の将軍たちのことです。彼らは、府兵制の基礎を築き、後の王朝の成立にも大きな影響を与えました。八柱国の歴史を紐解くことは、当時の社会情勢や民族関係を理解する上で非常に重要な意味を持ちます。

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