李績

李績（り せき）

李績（生没年不詳）は、五胡十六国時代の前燕に仕えた人物で、字は伯陽、范陽郡の出身です。父は前燕の尚書であった李産。

生涯

若い頃から、その優れた風貌と節操で名を知られていました。また、明晰な弁舌と文才にも長けていたとされています。

後趙に父と共に仕え、20歳で范陽郡功曹に任じられました。338年、後趙の皇帝、石虎が段遼を征伐するために范陽へ進駐した際、凶作による飢饉で、范陽の民は軍糧を十分に提供できませんでした。石虎は激怒し、范陽郡太守は処罰を恐れて逃亡。李績は石虎に進み出て、民の窮状を訴え、石虎は李績の壮節を称賛し、食糧の供出を免じ、太守の罪も問いませんでした。

その後、幽州刺史の王午により主簿に任じられ、幽州別駕にも任じられています。350年、前燕の皇帝、慕容儁が南征を開始すると、王午に従って魯口へ。父の李産が前燕に降伏していたため、鄧恒は李績を危険視しましたが、王午は李績の義を重んじて退けました。後に慕容儁に謁見した際、親に背いたことを責められますが、李績は智伯の仇を討った豫譲の故事を引用し、慕容儁への忠義を誓いました。慕容儁はこれを評価し、李績を前燕に迎え入れました。

前燕では昇進を重ね、太子中庶子に任じられ、後に司徒左長史となりました。359年、慕容儁が群臣を集めて宴会を開いた際、李績は亡くなった太子の慕容曄を偲び、その八つの美徳を述べました。慕容儁は李績の言葉に涙し、皇太子の慕容暐について意見を求めましたが、李績は慕容暐の遊興癖を懸念しました。慕容儁は慕容暐に李績の言葉を戒めとしましたが、慕容暐は不満を抱いたとされます。

360年、慕容儁が崩御する際、李績は慕容恪と共に慕容暐を補佐するよう遺言されました。しかし、慕容暐は以前の発言を恨んでおり、李績を重用しませんでした。慕容恪が尚書右僕射に任じるよう進言しましたが、慕容暐は聞き入れず、李績は章武郡太守に左遷され、やがて憂死したと伝えられています。

李績は、その才知と忠義心で周囲から高く評価されていましたが、慕容暐の個人的な感情によって不遇な晩年を送ることとなりました。彼の生涯は、五胡十六国時代の複雑な政治情勢と、君主の感情が人事に与える影響を物語るものと言えるでしょう。

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