杜光庭

杜光庭（と こうてい）

杜光庭（850年 - 933年）は、唐末から五代十国時代にかけて活躍した道士であり、著述家としても知られています。字は賓聖、東瀛子と号し、広成先生と諡されました。処州縉雲県の出身で、本貫は京兆郡杜陵県です。

生涯

唐の懿宗の咸通年間（860年 - 874年）に科挙に挑むも不合格となり、官途を諦めた杜光庭は、天台山にて応夷節に師事し道教を学びました。応夷節は、司馬承禎から数えて五代後の弟子にあたります。

その名声が唐の僖宗に届き召見されると、紫袍を賜り、麟徳殿文章応制に任じられ、内供奉として仕えました。中和元年（881年）には僖宗に随行して蜀に入り、後に成都に留まります。前蜀の王建に重用され、光禄大夫・戸部侍郎・上柱国・蔡国公に任じられ、広成先生の号を賜りました。後主の時代には、伝真天師の号を授けられ、崇真館大学士に任じられました。

晩年は青城山に隠棲し、「山中宰相」と称されました。没後、清都観に葬られています。

業績

杜光庭は、儒教・道教の典籍に深く精通していました。道法が乱れている現状を憂い、道書数千巻を蒐集し、その整理に尽力しました。彼の著作は非常に多く、『正統道蔵』には27種、『全唐文』には302篇が収録されています。

主要著作

仙伝拾遺
王氏神仙伝
太上宣慈助化章
録異記
道徳真経広聖義
道門科範大全集
道教霊験記
神仙感遇伝

また、伝奇小説である『虯髯客傳』も彼の作品として知られています。この物語は、宋代の『太平広記』に収録されており、李靖、紅拂女、虯髯客という3人の英雄を描いたもので、風塵三侠として知られています。

参考文献

『全唐文』巻929
『歴世真仙体道通鑑』巻40
吉岡義豊著『道教経典史論』（1955年）
唐大潮著『中国道教簡史』（宗教文化出版社、2001年）ISBN 7-80123-229-1

もう一度検索