杜恕

杜恕（と じょ）

杜恕（198年 - 252年）は、中国三国時代の魏に仕えた政治家。字は務伯。司隸京兆尹杜陵県（現在の陝西省西安市雁塔区）の出身。父は杜畿、弟は杜理・杜寛、子に杜預がいる。『三国志』魏志杜畿伝に附伝されている。

生涯

若き日の杜恕は、誠実で飾り気のない性格ゆえに目立つ存在ではなかった。父の死後、その地位を継ぐ。馮翊郡の李豊とは幼馴染であったが、李豊が名声を得るにつれ、杜恕の謙虚さが引き合いに出され、李豊を批判する者が現れたため、二人の仲は疎遠になった。

李豊が官吏として活躍した後も、杜恕はしばらくの間、世に出ることはなかった。しかし、曹叡（明帝）の時代である太和年間に、散騎黄門侍郎に任じられる。仕官後は、個人的な仲間作りに励むことなく、政治の乱れに対しては常に正論を述べ批判したため、辛毗らに高く評価された。また、黄門侍郎時代には、同僚であった李豊・袁侃・荀俁とは親交があった。

刺史が軍権を持つことに反対していた杜恕は、鎮北将軍の呂昭が冀州刺史を兼任しようとした際、これに反対した。また、官吏の勤務評定に関する議論が盛んだった頃、杜恕も自身の考えを述べた。

ある時、楽安の廉昭という人物が頻繁に弾劾を行っていたため、杜恕は上奏し、廉昭を厳しく批判した。中央での8年間、杜恕は常に正論を主張し続けた。

弘農太守に転出後は、寛大で柔和な統治を行い、人々に恩恵をもたらした。趙の国相に転任した後、病気により官を離れる。この時、宜陽に一泉塢を築いたため、多くの人々がその周辺に住むようになった。

後に平民から河東太守に抜擢され、1年ほどで淮北都督護軍となるが、再び病気となり官を辞す。地方にいる間は、任務の大枠を掴むにとどまり、父のように隅々まで恩恵を行き渡らせることはできなかった。その後、御史中丞に任命されるも、その性格から周囲との協調が難しく、何度か地方の任務に就いた。

幽州刺史となり、建威将軍・使持節護烏桓校尉に任命された。当時、征北将軍の程喜が薊に駐屯していた。尚書となっていた袁侃は、程喜がかつて同僚であった田豫を讒言で陥れたことがあったため、杜恕に警戒するよう忠告したが、杜恕は意に介さなかった。

嘉平元年（249年）、鮮卑族の子息が法令に違反したため、杜恕はその子の1人を斬ったが、報告書を提出しなかった。程喜は司馬の宋権を使って、弾劾しないことを条件に、自分に迎合するよう促してきたが、杜恕はこれを拒否した。この時の手紙によれば、当時52歳であったという。

程喜の弾劾により、杜恕は廷尉のもとに送られ、一時死罪となるが、父の功績に免じて死一等を減じられ、平民として章武郡に移された。陳留郡の阮武は杜恕に対し、暇な身分となったのだから、独創的な見解を研くべきだと勧めた。杜恕は配所で8節の『体論』と1篇の『興性論』という書を著し、嘉平4年（252年）に没した。

甘露2年（257年）、河東の楽詳という人物が杜畿の功績について上奏したため、遺子の杜預が豊楽亭侯に採り立てられた。

人物評

陳寿は杜恕を「自由な精神で思い通りに振舞った結果、失敗を招いたのだ」と評している。一方で、「その意見書や駁論はすべて立派なものである」とも評価し、伝においても多く引用している。

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