坊城家

坊城家：名門公家の歴史と変遷

坊城家は、由緒ある公家・華族の家系です。藤原北家勧修寺流の一支流にあたり、公家としての格式は名家として知られています。華族制度下では伯爵家に列せられ、代々、朝廷や政府において重要な役割を担ってきました。

鎌倉時代からの歴史：分家と興隆

坊城家の起源は鎌倉時代まで遡ります。権中納言坊城定資の長男、俊実が家祖として、坊城家を創設しました。「坊城」という家名は、勧修寺流の祖である高藤の七世孫、為房が最初に使用し、その後も勧修寺流の有力者たちが使用していた由緒あるものです。

定資の死後、遺産相続をめぐって、嫡流は次男の勧修寺経顕が継承し、俊実は分家という立場となりました。このことから、坊城家は勧修寺流の支流として位置づけられます。それでも、坊城家は儒学や有職故実を家職とし、名家の格式を保ちました。歴代当主の中には、正二位権大納言に昇進した者も複数おり、中には従一位にまで上り詰めた者もいました。

しかし、室町時代には一度断絶の危機に瀕します。俊顕の死去後、後継ぎがいなかったため、勧修寺家から養子を迎え入れましたが、その後も経済的な困難から後継者を得ることができず、約60年間途絶えることになります。

安土桃山時代には勧修寺晴豊の三男、俊昌によって再興されましたが、俊昌の長男は本家の勧修寺家の養子となったため、家系は再び分岐することになります。江戸時代には180石の家禄を有し、俊明、俊克といった当主は武家伝奏を務めるなど、朝廷との関係を維持し続けました。

明治維新と華族制度：新たな時代へ

明治維新後、坊城家は華族に列せられました。明治2年（1869年）の行政官達によって、公家と大名家が統合され、華族制度が成立すると、坊城家も公家として華族に編入されました。家禄は270石2斗とされ、金禄公債も支給されました。

明治17年（1884年）の華族令により、華族の爵位が五爵制になると、坊城俊章が伯爵位を授けられました。俊章はロシアとドイツに留学し、陸軍中佐まで昇進。その後、貴族院議員にも就任しました。

その後も坊城家は、宮内省などで要職を務めるなど、朝廷・政府と深く関わり続けました。俊良は宮内省侍従、皇太后宮大夫を経て、伊勢神宮大宮司に就任。俊民は東京都立高校の教諭や校長を歴任し、歌会始の講師も務めました。坊城俊成は霞会館会員、堂上会会員として活動し、歌会始の所役や講師を長年にわたり務めるなど、文化面でも貢献しました。

歴代当主と系図

坊城家は、鎌倉時代から現代まで、数多くの当主を輩出してきました。それぞれの当主は、それぞれの時代に貢献を果たし、坊城家の歴史を彩っています。詳細は系図を参照ください。(※系図は省略)

参考文献

浅見雅男『華族誕生 名誉と体面の明治』
石川健次郎「明治前期における華族の銀行投資―第15国立銀行の場合―」
刑部芳則『京都に残った公家たち: 華族の近代』
小田部雄次『華族 近代日本貴族の虚像と実像』
霞会館華族家系大成編輯委員会『昭和新修華族家系大成 別巻 華族制度資料集』
霞会館華族家系大成編輯委員会『平成新修旧華族家系大成 下巻』
華族大鑑刊行会『華族大鑑』
橋本政宣『公家事典』

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