東富士欽壹

東富士 欽壹の生涯と業績

東富士 欽壹（あずまふじ きんいち、1921年10月28日 - 1973年7月31日）は、東京都台東区出身の大相撲力士であり、後にプロレスラーや実業家としても名を馳せました。本名は井上 謹一で、彼は高砂部屋に属し、横綱としての地位に達した力士の一人です。

子供時代と初土俵

東富士は、幼少期から巨体と力強さで知られ、鉄工所での仕事を手伝いながらその才能を磨いていました。その噂を聞きつけた富士ヶ根部屋から勧誘を受け、1936年1月の場所で初めて土俵に上がりました。初めは緊張から実力を発揮できず、番付に載るまでに時間がかかりましたが、次第に双葉山定次の指導の下で成長していきました。

幕下からの成長

1942年1月には新十両に昇進し、さらに翌1943年には十両で14勝1敗を記録して優勝を果たし、新入幕を果たしました。この昇進に伴い、彼は横綱陣との対戦も経験し、関脇や小結を相手にすることができるようになりました。1944年には双葉山との対戦でも勝利を挙げ、その名をさらに広めました。

大関時代と横綱昇進

戦後、東富士は1945年11月に大関に昇進しますが、その後は負傷によって成績が影響を受けていきます。それでも1948年には初優勝を達成するなど、勢いを取り戻しました。1951年には再び優勝し、1952年には横綱免許を授与され、横綱としてのキャリアをスタートさせました。

プロレスに転向

横綱としての活躍後、東富士は1954年に引退を決意。年寄・錦戸を継承したものの、派閥争いから脱退し、その後プロレスに転向しました。ハワイでの修業を経て、1955年にデビュー。国内外での試合を重ね、力道山と共闘しながらその名声を広めました。

晩年と業績

プロレス引退後、彼はアパート経営や相撲解説者として活動し、さらには金融業にも手を広げました。1973年に結腸癌で亡くなるまで、多様な職業で成功を収めました。

評価とエピソード

東富士は「怒涛の寄り」と呼ばれる速攻相撲が特徴で、力強い相撲スタイルで知られていましたが、全勝や連続優勝は果たせなかったものの、毎年1回の優勝は成し遂げていました。また、彼の人柄やエピソードは多くの相撲ファンに愛され続けています。特に、入門時に逆四股名が付けられたエピソードや、巨体を持って横綱として名前を響かせたことが印象的です。

彼の生涯において築いた業績は、相撲界だけでなく、プロレス界にも影響を与え、後の力士たちにも多くの伝説として語り継がれています。

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