東武亀戸線

東武亀戸線

東武亀戸線は、東京都墨田区の曳舟駅と江東区の亀戸駅を結ぶ、東武鉄道の鉄道路線です。ラインカラーは青色で、駅ナンバリングの路線記号はTSです。

路線概要

路線距離: 3.4 km
軌間: 1,067 mm
駅数: 5駅（起終点駅含む）
複線区間: 全線（ただし、曳舟駅構内は単線）
電化区間: 全線（直流1,500 V）
閉塞方式: 自動閉塞式
保安装置: 東武形ATS
最高速度: 65 km/h

運行形態

2両編成の電車が、曳舟駅 - 亀戸駅間を往復運転しています。平日朝ラッシュ時は3編成を使用し、約7 - 8分間隔で運行。それ以降、及び土休日は、深夜・早朝帯を除いて2編成を使用し、約10分間隔で運行されています。全列車が各駅停車で、途中駅始発・終着の区間運転や他路線への直通運転はありません。全線でワンマン運転を実施しており、駅のプラットホームにはホームセンサーが設置され、安全確認に利用されています。

ワンマン化後は、先にワンマン化された大師線と車両運用が共通化されました。朝ラッシュ時のみ運行される編成は、9時台に亀戸駅2番線に留置され、昼過ぎに西新井駅まで回送運行された後、13時14分発の大師前行きとして大師線の運用に入ります。通常、曳舟駅では5番線から発着しますが、曳舟駅6時23分発の亀戸行きのみ、南栗橋車両管区春日部支所から回送されるため、4番線からの発車となります。

使用車両

8000系（南栗橋車両管区春日部支所所属・ワンマン運転対応車・2両編成）
大師線と共通運用されています。
通常色のほか、昭和30年代の標準塗装と試験塗装を再現したリバイバルカラーとして、朱色、緑色、黄色に塗られた3編成が存在します。
かつては伊勢崎線とも共通運用されていましたが、東上本線池袋駅 - 小川町駅間での定期運用が終了してからは、東京都内の東武線で8000系が運用されている路線は、当路線と大師線のみとなりました。

過去の使用車両

5000系（2両編成）
10000型（2両編成 1989年頃まで）

歴史

東武鉄道は、1897年（明治30年）に東京と埼玉県や群馬県・栃木県を結ぶ目的で設立されました。当初は、本所（業平橋）を起点とする計画でしたが、越中島への延長が難航したため、日本鉄道海岸線（現・JR常磐線）の北千住駅を起点に久喜駅までが最初の開業区間となりました。

その後、北千住 - 越中島間の敷設願を再度提出し、その一部として1902年（明治35年）には北千住 - 吾妻橋間、1904年（明治37年）には亀戸 - 曳舟間が開業しました。開業当初は、中間駅は天神駅のみで、非電化・蒸気運転でした。亀戸 - 曳舟開業と同時に、総武鉄道（現・JR東日本総武本線）亀戸 - 両国橋（現・両国）間への直通運転を開始し、両国橋駅に乗り入れました。これにより、東武鉄道の吾妻橋 - 曳舟間は廃止され、亀戸 - 曳舟間が本線格となりました。

しかし、総武鉄道の国有化を機に、ターミナルを吾妻橋駅に戻すことになり、1908年（明治41年）には吾妻橋 - 曳舟間が貨物線として再開、1910年（明治43年）には吾妻橋駅を浅草駅と改称して旅客営業を再開しました。これにより、亀戸 - 曳舟間は支線となりました。一方で、亀戸から越中島までの延伸計画は、用地取得が困難になったことなどから実現せず、免許が失効しました。

1926年（大正15年）には、国鉄が総武本線の新小岩駅と常磐線の金町駅を結ぶ貨物専用の短絡線である新金線を開通させたことで、国鉄からの貨物列車の直通は全てなくなり、ローカル線となりました。1928年（昭和3年）に全線が電化されると駅が多数開業しましたが、第二次世界大戦による空襲で甚大な被害を受け、半数以上の駅が廃止・休止となりました。

戦後は、伊勢崎線沿線の開発に伴い輸送客が増加しましたが、1962年（昭和37年）に伊勢崎線と営団地下鉄（現・東京メトロ）日比谷線との相互乗り入れが開始されると、都心への通勤ルートが変化し、乗客は減少しました。2003年（平成15年）には、地下鉄半蔵門線が押上まで延伸開業したことで、さらにダイヤ改正が行われました。

年表

1904年（明治37年）4月5日：曳舟 - 亀戸間 (3.4 km) 開業。総武鉄道両国橋（現・両国）まで乗り入れ。
1905年（明治38年）7月6日：天神駅営業休止。
1907年（明治40年）9月1日：総武鉄道が国有化され、総武本線となる。乗り入れは継続。
1908年（明治41年）4月4日：天神駅廃止、中間駅が皆無になる。
1910年（明治43年）3月27日：総武本線への直通運転を廃止。
1918年（大正7年）3月27日：全線を軽便鉄道法による軽便鉄道に変更。
1925年（大正14年）9月4日：天神駅再開業。
1928年（昭和3年）4月15日：亀戸線全線電化。同時に中間駅として、亀戸水神駅・北十間駅・平井街道駅（現・東あずま駅）・小村井駅・十間橋通駅・虎橋通駅が開業。
1943年（昭和18年）12月26日：虎橋通駅営業休止。
1945年（昭和20年）3月10日：東京大空襲により、虎橋通駅・平井街道駅廃止、北十間駅・十間橋通駅休止廃止。
1946年（昭和21年）12月5日：北十間駅と亀戸水神駅を移転統合、亀戸水神駅とする。北十間駅は廃止。
1956年（昭和31年）
5月20日：旧・平井街道駅の位置に東あずま駅開業（事実上の営業再開）。
10月31日：天神駅営業休止。
1957年（昭和32年）5月20日：天神駅廃止。
1958年（昭和33年）10月22日：十間橋通駅廃止。
2004年（平成16年）10月19日：ワンマン運転開始。
2012年（平成24年）3月17日：全駅に駅ナンバリングを導入。

駅一覧

全駅東京都内に所在します。全区間が海抜ゼロメートル地帯を通過しており、駅も標高マイナス1〜2メートルの深さに位置しています。

廃駅

北十間駅（亀戸水神 - 東あずま間、1945年3月10日休止、1946年12月5日廃止）
天神駅（小村井 - 十間橋通間、1956年10月31日休止、1957年5月20日廃止）
十間橋通駅（天神 - 虎橋通間、1945年3月10日休止、1958年10月22日廃止）
虎橋通駅（十間橋通 - 曳舟間、1943年12月26日休止、1945年3月10日廃止）

参考文献

寺田裕一「大手私鉄の小さな径12 東武鉄道亀戸線・大師線」『鉄道ジャーナル』2003年12月号、鉄道ジャーナル社、2003年12月、103-106頁、ISSN 0288-2337。
東武鉄道年史編纂事務局 編『東武鉄道六十五年史』東武鉄道、1964年。全国書誌番号:64010839。

関連項目

東武鉄道
日本の[[鉄道路線一覧]]

外部リンク

* 東武亀戸線

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