東遊

東遊（あずまあそび）

東遊は、雅楽の一形式であり、国風歌舞に相当する長大な組曲です。この演奏は約30分程度を要し、その構成は個々の曲調に合わせた舞楽としての機能を持ちます。舞い手は通常6人または4人で構成され、歌方は拍子、和琴、琴持、東遊笛（中管）、篳篥、付歌を使って演奏されますが、現代では高麗笛が使われることが一般的です。主に神事に用いられるものであり、明治以降は様々な神社祭りや宮中の行事でも演じられています。

起源と歴史

東遊の起源は、古代の伝承にさかのぼります。安閑天皇の時代に、駿河国の宇土浜に天女が舞い降りたことがその起源とされており、『続日本紀』に記載された「東国楽」が東遊の初期形態として考えられています。最初の文献としては『日本紀略』における942年の記録があり、ここで初めて東遊の名称が見られます。さらに、駿河舞と求子歌を組み合わせた形式を「諸舞」と呼び、駿河舞だけを演じる場合は「片舞」と呼称されています。

平安時代には、舞人は細纓冠の作法に従って装束を整え、舞楽を奏する際には6人から10人の舞人と4人の歌人が編成されました。舞人たちは鈴や笛とともに調和し、ゆったりと舞い上がり、都の文化においてもその存在感を示しました。平安時代中期には、外来楽の流入により徐々に衰退しましたが、東大寺の大仏供養で行われた際には唐楽や高麗楽とともに演じられ、その復活の兆しを見せました。

江戸時代においては、東遊は再興され、改訂が行われ、明治維新後も神事として活用され続けています。

演奏の構成

東遊は全体で5つの部分から構成されます。一歌、二歌、駿河歌、求子歌、そして大比礼歌の順です。曲は主に独唱から始まり、続いて斉唱に進むスタイルがとられています。曲の拍子には拍節的なものと非拍節的なものがあり、特に駿河歌や求子歌には舞が伴うことが特徴です。

各部の演奏が織りなす音楽の流れは、厳かさと華やかさが絶妙に融合しています。楽器は笛、篳篥、和琴などが使われ、それぞれがリズムを感じさせる重要な役割を果たします。

演奏の段落

1. 狛調子（こまぢょうし）
2. 阿波礼（あはれ）
3. 音出（こわだし）
4. 於振（おぶり）
5. 一歌（いちうた）
6. 於振（おぶり）
7. 二歌（にうた）
8. 於振（おぶり）
9. 駿河歌歌出（するがうたのうただし）
10. 駿河歌一段（するがうたのいちだん）
11. 駿河歌二段（するがうたのにだん）
12. 加多於呂志（かたおろし）
13. 阿波礼（あはれ）
14. 求子歌出（もとめごのうただし）
15. 求子歌（もとめごのうた）
16. 大比礼歌出（おおびれのうただし）
17. 大比礼歌（おおびれのうた）

このように、東遊は日本の伝統音楽と舞の融合が見事な形で表現された重要な文化遺産です。

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