東郷実

東郷 実の生涯と業績

東郷 実（とうごう みのる）は1881年11月12日に鹿児島県で生まれ、明治から昭和にかけて日本の農業や植民政策に貢献した著名な学者・政治家として知られています。彼は千葉工業大学の初代理事長を務めたほか、政界でも大きな影響力を持ちました。

幼少期と教育

東郷は士族の家に生まれたが、9歳の時に母親を亡くし、以降は厳しい環境の中で育ちました。地元の小学校を卒業した彼は、1894年13歳の時に東京に出て勉学に励みました。麻布北新門前町に住む親類の元で生活し、東京府立第一中学校を経て、1899年に札幌農学校に入学しました。

彼は植民政策を専攻し、1905年に卒業。その後、卒業論文を『日本植民論』として世に出しました。この文献は後に新渡戸稲造の紹介によって広まりました。

台湾での活動

卒業後、彼は日本の植民地政策に関わる仕事を選び、台湾に渡りました。1906年には彰化庁で嘱託殖産係長として勤務し、翌年には台湾総督府の殖産局農商課で技師としての職務を開始しました。

その後、1909年にはドイツへ留学し、ベルリン大学で2年間の学びを得た後、帰国。台湾総督府に戻ると、官房調査課長に昇進し、台湾における農業や産業政策に貢献しました。1919年には農学博士号を取得し、その知識を生かして様々な政策を提案しました。

政治家としての活動

1924年に衆議院議員総選挙に当選し、政友本党から政治の世界に飛び込みました。以降、8期連続で当選し、農政通としての地位を確立しました。立憲政友会に移籍後、彼は閣僚職を歴任し、犬養内閣では逓信参与官、齋藤内閣では文部政務次官といった役職を務めました。

特に戦時中には翼賛政治会の代議士会長として、国家の施策に積極的に関与しました。しかし、戦後は公職追放処分を受け、1953年のバカヤロー解散の際に政界から身を引く決断をしました。

家族背景

東郷家は薩摩国の東郷氏に由来し、彼の父親である東郷実彦も士族としての背景を持っていました。実彦は西南戦争に従軍し、明治32年には財部町の町長を務めていました。また、東郷の長女の夫は、麻生太吉の孫である麻生義太賀です。

最後に

彼の一生は、農学と政治の両面において日本の発展に寄与したものです。東郷実の教えと業績は、現代においても多くの人々に引き継がれています。

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