松尾寺 (大和郡山市)

松尾寺（まつおでら）について

松尾寺は、奈良県大和郡山市にある真言宗醍醐派の特別な本山寺院で、松尾山または補陀洛山という山号を持っています。ここに祀られている本尊は千手千眼観世音菩薩であり、創建の伝説によれば、舎人親王によって718年に設立されたとされています。この寺は「日本最古の厄除け寺」とも称されており、毎年2月と3月の初午の日には、多くの参拝者で賑わいます。

歴史

松尾寺は矢田丘陵の南端に位置し、創建当初は舎人親王が42歳の厄年であったことから、厄除けを祈願して建立されました。伝えられるところによれば、舎人親王は『日本書紀』の編纂を終えた後に寺を創ったとされています。また、奈良時代の古い瓦や建物の跡が発見されており、松尾寺の起源は奈良時代にまで遡ると考えられています。

中世には興福寺一乗院の支配下に入り、法隆寺の別院とも言われていました。現存する本堂は1277年に焼失した後、1337年に再建され、現在も重要文化財として残されています。本堂の中に安置されている千手観音立像は鎌倉時代のもので、特に厄除け観音として信仰されています。

室町時代以降には修験道の拠点としても栄え、『当山派』と呼ばれる真言宗系の組織が形成され、松尾寺には当山派に関わる多くの文書が残されています。江戸時代には後水尾天皇が喜びを込めて如意輪観音像を下賜しました。

境内

松尾寺の境内には数多くの見どころがあります。特に、本堂は1337年に再建された中世の大型仏堂として重要文化財に指定されています。大仏様の様式を取り入れながらも和様を基調とした簡素な建築が特徴です。また、境内には神霊石の大岩や西国三十三所石仏群も存在します。

他にも、役行者の像を奉じる行者堂、阿弥陀堂、七福神堂、経蔵などがあり、特に十三重石塔は舎人親王の遺骨を納めた重要な文化財とされています。さらに、境内には美しいバラ園があり、春にはたくさんの花々が咲き乱れ、多くの観光客を惹きつけています。

文化財

松尾寺には、鎌倉時代作の木造大黒天立像や貴重な絹本著色の仏画など、多くの文化財が保管されています。これらの文化財は見学者にとって大変貴重な存在であり、特に本堂に安置された千手観音立像は秘仏であり、毎年11月3日のみ公開されます。

アクセス

松尾寺へのアクセスは、JR大和路線の大和小泉駅から奈良交通バスに乗り、「松尾寺口」で下車し、そこから徒歩30分ほどで到着します。近鉄橿原線からも同様にアクセス可能です。

結論

松尾寺はその歴史、文化、そして自然の美しさに恵まれた場所です。厄除けの名所としての信仰が根付いていることから、訪れる価値のあるスポットと言えるでしょう。

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