松平信義 (丹波亀山藩主)

松平信義（まつだいら のぶよし）

松平信義は、江戸時代後期の大名であり、丹波国亀山藩の第7代藩主として知られています。また、幕府の老中も務め、激動の幕末期において重要な役割を果たしました。形原松平家の17代当主であり、官位は従四位下侍従でした。

生い立ちと藩主就任

文政7年（1824年）、亀山藩の分家である旗本・松平庸煕の長男として生まれました。後に本家の第6代藩主・松平信豪の養子となり、天保14年（1843年）2月9日に信豪の隠居に伴い家督を継承しました。この時期、幕末の動乱が始まりつつあり、信義は藩主として難しい舵取りを迫られることになります。

幕末の動乱と信義

信義が藩主を務めた時期は、桜田門外の変や坂下門外の変など、幕府の権威が揺らぎ、社会不安が高まる時期でした。信義の養父である信豪が井伊直弼の姻戚であった関係から、信義は安政の大獄に協力したとされ、水戸藩浪士からのテロの標的となりました。文久元年（1861年）には、水戸藩士・落合慵之助による暗殺未遂事件が発生しています。また、生麦事件やその賠償金問題、薩英戦争など、外国との対応にも追われました。特にイギリスとの交渉では、その外交手腕が試されました。

文久2年（1862年）5月10日の攘夷決行前後の時期には、病気を理由に登営を避けるなど、責任回避ととれる行動が目立つようになります。そして、文久3年（1863年）には老中を辞任しました。これらの行動は、幕末の激動の中で、藩主としての立場と個人の心情の間で苦悩した結果とも考えられます。

その後

慶応2年（1866年）、家督を養子の信正に譲り隠居し、直後の1月29日に死去しました。享年43歳でした。

東京大学史料編纂所蔵の形原松平家譜には、信義が安政3年に朝鮮人来聘の担当を命じられたこと、将軍家御台所篤姫の諱を避けて名を改めたことが記録されています。これらの記録は、信義が幕府の要職を務める一方で、将軍家への忠誠を重んじていたことを示唆しています。

経歴

1824年（文政7年）：誕生。
1842年（天保13年）：従五位下に叙される。
1843年（天保14年）2月9日：丹波亀山藩主を襲封。
1848年（嘉永年間）：奏者番兼寺社奉行に就任（- 1858年11月26日）。
1858年（安政5年）11月：大坂城代に就任。
1860年（万延元年）12月28日：老中・外国事務取扱に就任。
1863年（文久3年）：病気を理由に老中を辞任。
1866年（慶応2年）：隠居。1月29日死去。

系譜

父：松平庸煕
母：松平信愛娘
養父：松平信豪（1813-1865）
正室：太田資熙娘
子女：萬千子 - 土岐頼知正室
養子：
松平信敏（1849-1865） - 松平信豪の六男
松平信正（1852-1909） - 松平信豪の七男

松平信義は、幕末という激動の時代に、藩主として、また幕府の要職を務める中で、様々な難題に直面しました。その生涯は、時代の変化に翻弄されながらも、藩と幕府のために尽力した武士の姿を伝えています。

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