松平光庸

松平光庸（まつだいら みつつね）

松平光庸は、江戸時代後期の信濃松本藩の第8代藩主であり、戸田松平家の13代当主です。

生涯

寛政10年（1798年）、松本藩の第6代藩主であった松平光行の三男として誕生しました。母は光行の正室で、第5代藩主・松平光悌の娘である錠姫です。文政2年（1819年）に、第7代藩主で母方の叔父にあたる松平光年の養子となり、同年には将軍・徳川家斉に拝謁しました。文政3年（1821年）には従五位下・弾正少弼に叙任されています。

天保8年（1837年）に養父・光年が死去したため家督を相続し、松本藩主となりました。藩主として、文化13年（1816年）には産物会所を設置し、領内の産業を奨励しました。しかし、天保12年（1841年）には藩の財政改革を巡り、譜代家臣と新参家臣が対立するお家騒動（戸田図書事件）が起こりました。

弘化2年（1845年）に家督を次男の光則に譲り隠居し、尤香斎と号しました。明治5年（1872年）には東京に移住し、明治11年（1878年）に葛飾郡須崎村の邸宅で生涯を閉じました。

系譜

実父：松平光行
実母：錠姫（松平光悌の娘）
養父：松平光年
正室：伊保子（久世広誉の娘）
側室：吉野曽興子、浅野氏
子女：
小笠原長国（長男）
松平（戸田）光則（次男、生母は吉野氏）
内藤政恒（三男、生母は伊保子）
戸田光芬（四男）
戸田光遠（五男）
野々山義比（六男）
松平（松井）康載（九男）
貞（安藤直裕正室）
孝（島津忠寛継室、のち九鬼隆備正室）
養子：松平光領（松平光年の四男）


松平光庸は、藩主として産業振興に努める一方で、藩内の対立にも直面しました。その生涯は、江戸時代後期の大名としての苦悩と、時代の変化の中で生きる姿を映し出していると言えるでしょう。

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