松平忠国 (播磨国明石藩主)

松平忠国：文化を愛した明石藩初代藩主

松平忠国は、江戸時代前期に活躍した大名で、藤井松平家嫡流の4代目当主にあたります。丹波篠山藩主を経て、播磨明石藩の初代藩主となりました。従五位下・山城守の官位を有しています。

生涯

元和6年（1620年）、父である松平信吉の跡を継ぎ、丹波篠山5万石の藩主となります。父の代から建設中であった城下町を完成させましたが、藩の財政には厳格であり、元和7年（1621年）の不作の際には柿の木も年貢の対象としたため、農民からの越訴を引き起こしました。

慶安2年（1649年）には、播磨明石7万石に加増転封されます。明石では、新田開発や掘割の開削などに尽力し、藩政の基礎を固めました。

万治2年（1659年）に63歳で死去しました。

文化人としての一面

忠国は、茶道・和歌・俳諧・文学を嗜む文化人としても知られていました。特に、沢庵宗彭との交流は有名です。明石が『源氏物語』や『平家物語』の舞台となっていたことから、光源氏や明石入道の碑を造り、自作の和歌を刻ませるなど、文化的な造詣の深さを示しています。

系譜

忠国は多くの子女に恵まれました。娘の一人である栄昌院は、弟の家である伊賀守家に嫁ぎ、甥の忠昭の正室となっています。息子の名には、将軍徳川秀忠から拝領した「忠」の字を用いず、養祖父以来の「信」の字をそれぞれに与えました。長男の信久は早世し、家督は次男の信之が継ぎました。三男の信重は新たに家を興し、5000石の旗本となっています。

父母

父: 松平信吉
母: 松平信一の娘、あるいは養女で阿部定吉の娘

正室

戸田氏鉄の娘

子女

松平信久（長男）
松平信之（次男）
松平信重（三男）
松平忠栄（五男） - 松平忠晴の養子
内藤義概正室
松浦重信正室
翠松院 - 保科正景正室
酒井忠興室
本多忠将正室
善法寺要清室
栄昌院 - 松平忠昭正室

松平忠国は、藩主として藩政に尽力する一方で、文化人としても豊かな才能を発揮し、後世に名を残しました。彼の文化的な功績は、今もなお明石の地に息づいています。

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