松村謙二

松村 謙二（まつむら けんじ）は、1960年2月15日生まれ、兵庫県高砂市出身の元プロボクサーです。多方面でのキャリアを経てプロボクシングの世界に身を投じた異色の存在として知られ、後に松村 謙一（まつむら けんいち）へとリングネームを改名しました。

異色の経歴

兵庫県立加古川西高等学校から大阪体育大学へ進学し、大学ではボクシング部に所属しました。大学卒業後、彼は一度は警察官として社会に出ます。しかし、職を辞してアマチュアボクサーとして活動を再開。1984年には全日本社会人ボクシング選手権大会で優勝を果たすなど、アマチュアで実績を積みました。大学時代の1年後輩にはロス五輪代表の高見公明がおり、高校の後輩には元東洋太平洋女子ライトフライ級王者である竹中佳がいます。

結婚を機にボクシングから離れ、中学校の体育教師に転身しました。安定した職に就いたかに見えましたが、再び教職を辞し、今度はプロボクサーとなるべく厳しいトレーニングを開始したのです。

プロキャリア

1985年7月23日、プロデビューを果たしました。プロ3戦目となる1986年1月23日には、後の元日本ライトフライ級王者、名嘉真堅徳と対戦しましたが、判定負けを喫しています。

転機が訪れたのは1987年5月3日、プロ8戦目のことでした。OPBF東洋太平洋フライ級王者タノムサク・シスボーベー（タイ）に挑戦し、2-1のスプリット判定で見事勝利。OPBF王座を獲得しました。その後、この王座を3度にわたり防衛することに成功しています。

世界王座への挑戦

OPBF王者として実績を積み、1989年4月8日、プロ13戦目にして自身初となる世界タイトルマッチの舞台に立ちました。横浜文化体育館でWBA世界ジュニアバンタム級王者カオサイ・ギャラクシー（タイ）に挑んだものの、10回にダウンを奪われるなど劣勢となり、0-3の判定負け。王座奪取はなりませんでした。しかし、高いKO率を誇るカオサイ相手にフルラウンド粘り抜いたことは高く評価されました。

同年10月31日には、神戸ワールド記念ホールでカオサイ・ギャラクシーとの再戦が実現しました。リベンジを期しましたが、3回と8回にダウンを喫するなど苦しい展開となり、最終12回2分56秒、TKO負けを喫し、雪辱を果たすことはできませんでした。

3度目の世界挑戦は1990年10月20日、敵地でWBC世界ジュニアバンタム級王者文成吉（韓国）に対して行われました。この試合では、1回に2度、3回に1度と序盤に立て続けにダウンを奪われる厳しい立ち上がりとなります。しかし、5回に偶然のバッティングが発生し、王者の両目尻から出血。この回終了時にドクターストップとなり、負傷判定の結果、0-3で敗れました。不運な形で3度目の世界挑戦も失敗に終わりました。

改名と晩年

その後、画数占いを取り入れ、リングネームを「松村謙一」と改名しました。

改名後、1992年9月11日、日本武道館にてWBA世界ジュニアバンタム級王者鬼塚勝也に挑戦。これが彼にとって4度目の世界挑戦となりました。しかし、4回に2度ダウンを奪われた末、5回TKO負けを喫し、またしても世界王座には届きませんでした。

鬼塚戦後、所属するJA加古川ジムから引退を勧告されますが、これを拒否。現役続行を選び、横浜のKTT河合ジムへ移籍しました。

移籍後の再起戦として、1993年4月6日、日本ジュニアバンタム級王者川島郭志に挑戦します。しかし、試合開始直後から川島の猛攻を受け圧倒され、5回開始直後にセコンドがタオルを投入しTKO負けとなりました。この川島戦を最後に、プロボクサーとしてのキャリアに終止符を打ち、引退しました。

戦績と獲得タイトル

アマチュア戦績: 40戦 33勝 7敗
プロ戦績: 20戦 12勝（8KO） 7敗 1分

獲得タイトル:

* 第18代OPBF東洋太平洋フライ級王座（防衛3度）

警官、教師を経てプロボクサーとなり、OPBF王座獲得、そして4度の世界挑戦を果たした松村謙二は、その粘り強いファイトスタイルと異色の経歴で、ボクシング史に名を刻んでいます。

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