松田正之

松田正之：逓信・拓務官僚、政治家としての生涯

松田正之（まつだ まさゆき）は、1892年11月2日に生まれ、1976年5月2日に没した、日本の逓信・拓務官僚であり、政治家です。旧名は定之助といい、南洋庁長官や貴族院男爵議員を務めました。

生い立ちと初期の経歴

東京府出身の松田正之は、もともと有馬頼萬の三男として生まれました。その後、松田正久の養子となり、家督を継承。1915年9月1日に養父の死去に伴い、男爵を襲爵しました。学習院を経て、1916年7月には京都帝国大学法科大学政治学科を卒業しています。学業を終えた後、1917年3月から1920年6月まで帝室博物館に勤務しました。

官僚としてのキャリア

1920年10月、高等試験行政科試験に合格した松田正之は、同年11月に逓信局書記兼逓信属として官界入りを果たします。その後、地方海員審判所審判官兼逓信局事務官、兼逓信省事務官などを歴任し、着実にキャリアを積み重ねました。1923年4月には、拓務事務局書記官兼内閣書記官に転じ、その後も内閣拓殖局書記官、拓務書記官・管理局第一課長といった要職を歴任しました。

1931年11月に一旦官僚を辞職しますが、1932年2月には南洋庁長官に就任し、再び公務に携わります。1933年8月には朝鮮総督府専売局長に転任。1934年11月、依願免本官となり退官しました。

貴族院議員としての活動

1934年12月8日、貴族院議員補欠選挙に当選した松田正之は、貴族院男爵議員として政治の舞台に立ちます。1947年5月2日の貴族院廃止までその職を務め、国政に貢献しました。この間、小磯内閣では外務政務次官などを務めています。

実業界での活動と晩年

官僚、政治家としての活動と並行して、松田正之は実業界でも活躍しました。昭和鉱業監査役、水産化学工業監査役、アマゾニア産業監査役、南洋アルミニューム会長などを務めました。第二次世界大戦後は、東京慈恵会理事、東京慈恵会医科大学理事として、医療分野にも貢献しています。

親族

松田正之の親族には、兄に伯爵の有馬頼寧、子爵の安藤信昭がいます。妻は蜂須賀正韶の二女である蜂須賀笛子でしたが、のちに離縁。娘の賀陽朝子は、賀陽治憲の妻となりました。

まとめ

松田正之は、官僚、政治家、実業家として多岐にわたる分野で活躍し、日本の発展に貢献しました。彼の生涯は、激動の時代を生き抜いた一人の人物の足跡として、今もなお語り継がれています。

参考文献

• - 秦郁彦編『日本近現代人物履歴事典』東京大学出版会、2002年。
• - 秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
• - 霞会館華族家系大成編輯委員会『平成新修旧華族家系大成』下巻、霞会館、1996年。
• - 衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。
• - 『南洋資料』第312号「南洋廰歴代長官名簿及略歴」、南洋経済研究所、1943年。

もう一度検索