林幹

林幹（はやし かん）

林幹は、1894年（明治27年）に東京で生まれ、1965年（昭和40年）に没した日本の俳優、宗教家です。本名を海上晴帆（うながみ せいはん）といい、宗教法人天崇教の初代教主を務めました。

生涯

浅草で生まれた林幹は、京華商業学校を経て早稲田実業学校を中退後、坪内逍遥に師事し文学を学びました。その後、坪内逍遥の助手として早稲田大学で働きながら、演劇の世界に足を踏み入れます。1914年（大正3年）には新劇団無名会に参加し、俳優「林幹」として初舞台を踏みました。

1917年（大正6年）には芸術座、舞台協会といった劇団に所属し、1919年（大正8年）には創作劇場を設立。倉田百三演出の『出家とその弟子』で親鸞上人役を演じました。その後も舞台協会に戻りつつ、新文芸協会にも参加し、南座などに出演しました。同年10月には、日活向島撮影所の革新運動に参加し、映画『朝日さす前』で主演を務めました。

1922年（大正11年）には新興劇団丹青座（後の国民劇）を設立しますが、関東大震災の影響もあり解散。その後は舞台協会、同志座を経て、人間座を組織しました。1925年（大正14年）には東亜キネマ甲陽撮影所に入社し、映画にも出演しました。1926年（大正15年）には自ら創生劇を組織しましたが、短期間で解散。1928年（昭和3年）には帝国劇場専属俳優となり、明治座や日本劇場などに出演しました。戦後も築地小劇場や俳優座の舞台に立ちました。

映画では、東京発声映画製作所の作品に脇役として出演し、戦後は日本総合芸術社と契約。黒澤明監督の『生きる』をはじめ、東宝、新[[東宝]]、日活、松竹の作品に出演しました。岡本喜八監督作品の常連としても知られ、貫禄のある役柄を得意としました。

宗教家としては、戦前から本名の海上晴帆名義で活動。仏教に関心を持ちましたが、後に神道の再興を志し、神理教の清水英範に師事。1941年（昭和16年）には神理教宣教師となり、光徳教会を設立しましたが、戦災で焼失。1948年（昭和23年）には、妻である日本画家の娘、海上美乃（旧芸名山口真瑳子）と共に宗教法人天崇教を立ち上げ、教主となりました。1953年（昭和28年）には文部大臣の認証を受け、本部を設置。1961年（昭和36年）には埼玉県大宮市に本部を移し、活動を続けました。

1965年（昭和40年）4月23日、自宅で病没。享年71歳でした。

フィルモグラフィ

（主な出演作品）

日活向島撮影所
『朝日さす前』（1920年）
『白百合のかほり』（1921年）
東亜キネマ甲陽撮影所
『潮』（1925年）
『運命の十字路』（1925年）
東京発声映画製作所
『小島の春』（1940年）
『大日向村』（1940年）
フリーランス（戦後）
『生きる』（1952年）
『七人の侍』（1954年）
『ゴジラ』（1954年）
『暗黒街の顔役』（1959年）
『独立愚連隊西へ』（1960年）

参考文献

『東宝特撮映画全史』監修 田中友幸、東宝出版事業室、1983年。
『別冊映画秘宝 初代ゴジラ研究読本』洋泉社、2014年。

外部リンク

Kan Hayashi - IMDb（英語）
林幹 - 日本映画データベース
林幹 - KINENOTE
* 林幹 - allcinema

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