林有美

林 有美（はやし ゆうび）

林有美（1832年 - 1862年）は、江戸時代末期の囲碁棋士。家元である林家の十二世林柏栄門入の跡目であり、六段の腕前を持っていました。旧名は高鹽慶治（たかしお けいじ）。御城碁においては、計6局にわたってその技を披露しました。

生涯

慶治は桂司、有二とも名乗りました。13歳で林家の門下に入り、その温和な人柄と着実な技量で頭角を現します。安政3年（1856年）には、柏栄の跡目と定められ、有美と改名しました。同年より御城碁に出仕し、翌安政4年には五段に昇段。文久年間には六段に進み、当時最強と謳われた本因坊秀策も、有美の腕前について「近頃上達」と評しています。

文久元年（1861年）の御城碁では、秀策と先番で対戦。この対局は秀策の御城碁19連勝目となりましたが、有美は果敢に挑み、中押負けを喫しました。しかし、その才能は高く評価されていました。

文久2年（1862年）、有美は31歳という若さでこの世を去りました。死因は花柳病とされています。

棋風と逸話

嘉永元年（1848年）には、同門の山夾珍平との間で三劫の碁が打たれています。この対局は、当時の棋士たちの間で大きな話題となりました。

御城碁の戦績

1856年（安政3年）先番10目勝 安井算知 (俊哲)
1857年（安政4年）二子5目勝 本因坊秀和
1858年（安政5年）先番2目負 伊藤松和
1860年（万延元年）先番4目負 本因坊秀策
1861年（文久元年）先番中押負 阪口仙得
同年 先番中押負 本因坊秀策

参考文献

安藤如意、渡辺英夫『坐隠談叢』新樹社 1955年
福井正明、相場一宏『碁界黄金の十九世紀』日本棋院 2007年

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