林柏栄門入

林 柏栄門入（はやし はくえいもんにゅう）

林柏栄門入は、1805年（文化2年）に生まれ、1864年12月16日（元治元年11月18日）に没した江戸時代の囲碁棋士です。家元林家の十二世林門入であり、七段の腕前を持っていました。十一世林元美の子で、元の名は柏悦、後に柏栄と改めました。

経歴

出自については、元美の実子であるという説と養子であるという説があります。16歳まで成田山新勝寺で小姓を務め、1822年(文政5年)18歳の時に跡目となり、初段として御城碁に出仕しました。1828年(文政11年)に柏栄と改名。1832年(天保3年)頃に五段、1839年(天保10年)頃に六段、1848年(嘉永元年)に七段へと昇段しました。1849年(嘉永2年)に元美の隠居に伴い、家督を継いで十二世林門入となりました。

当時の門人には、山来珍平（五段）、熱田藤吉（五段）、高塩慶治などがいました。1856年(元治元年'>[安政]]3年)に高塩慶治を跡目に定め、林有美と名乗らせて御城碁に出仕させました。しかし、有美は六段まで昇段したものの、1862年(文久2年)に30歳で夭逝してしまいます。そのため、本因坊秀和の次男で11歳の土屋平次郎を養子に迎え、林秀栄としました。1864年]に死去し、浅草快楽院に葬られました。翌1865年([[慶応元年)に14歳の秀栄が家督を継ぎました。

本因坊丈策の時代には、太田雄蔵、竹川惣和と並んで「碁界三美男」の一人に数えられており、小姓の頃には成田屋海老蔵から養子にしたいと申し込まれたほどだったと言われています。将軍家御好み碁で秀和と1日に4局打って打ち分けとしたことがあり、早碁が得意であったと伝えられています。

御城碁では、1863年(文久3年)まで、本因坊烈元に次ぐ35局を務めました。「力段に及ばず」と評されることもありましたが、その実力は高く評価されていました。

御城碁戦績

1822年（文政5年） 三子9目負 服部因淑
1823年（文政6年） 三子中押勝 本因坊丈和
1824年（文政7年） 三子9目勝 安井知得仙知
1825年（文政8年） 二子中押負 井上幻庵因碩
1826年（文政9年） 二子14目勝 服部因淑
1827年（文政10年） 白番6目負 安井俊哲
1828年（文政11年） 二子6目勝 本因坊丈和
1831年（天保2年） 二子10目勝 安井知得仙知
1832年（天保3年） 二子中押勝 井上幻庵因碩
1833年（天保4年） 先番中押負 安井俊哲
1835年（天保6年） 白番9目負 服部雄節
1837年（天保8年） 先番中押負 本因坊丈策
1838年（天保9年） 白番5目負 安井算知
1839年（天保10年） 先番中押負 阪口仙得
1840年（天保11年） 先番中押勝 安井算知、白番3目負 阪口仙得
1841年（天保12年） 白番中押勝 本因坊丈策
1842年（天保13年） 先番中押負 本因坊秀和
1843年（天保14年） 先番中押負 本因坊丈策
1844年（弘化元年） 先番中押負 阪口仙得、先番4目負 本因坊秀和
1845年（弘化2年） 白番6目勝 安井算知、白番4目勝 本因坊丈策
1849年（嘉永2年） 先番中押負 伊藤松和、先番中押負 本因坊秀和
1851年（嘉永4年） 白番7目負 本因坊秀策、白番3目負 井上松本因碩
1852年（嘉永5年） 白番中押負 安井算知、先番12目負 阪口仙得
1853年（嘉永6年） 白番中押負 伊藤松和、白番中押負 阪口仙得
1859年（安政6年） 先番7目負 伊藤松和
1860年（万延元年） 向三子中押負 安井算英
1861年（文久元年） 先番中押負 本因坊秀策
1863年（文久3年） 向二子2目負 安井算英

参考文献

安藤如意、渡辺英夫『坐隠談叢』新樹社 1955年

外部リンク

木石庵「林柏栄門入」

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