林鶚

林鶚（りん がく、1423年 - 1476年）は、明代中期に活躍した官僚です。字は一鶚といい、台州府太平県（現在の浙江省温嶺市付近）の出身です。

生涯

林鶚は、林純と程氏の間に生まれました。1451年（景泰2年）に進士に及第し、官僚としてのキャリアをスタートさせます。当初は御史として、科挙試験の監督や官僚の考査に携わりました。この時期、同郷の林挺の科挙試験を担当したことがきっかけで、官僚考査を担当していた陳循から不正の疑いをかけられます。しかし、徹底的な取り調べの結果、林挺の潔白が証明され、林鶚自身の清廉さも明らかになりました。

1457年（天順元年）、英宗が復辟すると、林鶚は鎮江府（現在の江蘇省鎮江市）の知府として地方行政に携わります。ここでは、京口の水門と甘露の旧堰跡の浚渫を上奏し、舟の航行を可能にするなど、治水事業に貢献しました。1462年（天順6年）には、蘇州府（現在の江蘇省蘇州市）の知府に転任し、その行政手腕を発揮しました。

成化初年、林鶚は江西按察使に転じます。広東で発生した反乱軍が贛州（現在の江西省贛州市）に迫ると、林鶚は兵を派遣してこれを守り、反乱軍を撃退する功績をあげました。また、広信府（現在の江西省上饒市）で宗教反乱が起こると、扇動した首謀者を捕らえて処刑し、その宗派を解散させることで、反乱を鎮圧しました。その後、右布政使、左布政使を歴任しました。また、飢饉に際しては、租税15万石を減額するよう上奏するなど、民衆の救済にも尽力しました。

1470年（成化6年）、林鶚は南京刑部右侍郎に抜擢され中央に復帰します。1471年（成化7年）に母が亡くなると官を辞して喪に服しますが、1474年（成化10年）に喪が明けると、北京に召還され、再び刑部右侍郎に任じられました。しかし、1476年（成化12年）12月8日、病のため54歳でこの世を去りました。1544年（嘉靖23年）には、その功績が認められ、刑部尚書の位が追贈され、諡号は恭粛とされました。

林鶚は、在任中に多くの功績を残し、清廉な官僚として人々から尊敬を集めました。著書に『畏斎存稿』10巻があります。

参考文献

『明史』巻157 列伝第45
通議大夫刑部右侍郎林公神道碑銘（呉寛『匏翁家蔵集』巻77所収）

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