枢密院 (タイ)

タイの枢密院

タイの枢密院（สภาองคมนตรีไทย）は、国王によって任命される諮問機関です。タイ王国憲法に基づき、18人を超えない顧問官で構成されています。枢密院は、枢密院議長の下で運営され、現在は元首相のスラユット・チュラーノンが議長を務めています。顧問官の任命権は国王のみが有しており、憲法に基づいて、タイ国王とチャクリー王朝に関する広範な権限と責任を与えられています。枢密院の事務所は、バンコクのプラナコーン区に位置しています。

近年、枢密院とその議長は政治への干渉に関与していると非難されることもあります。特に、2006年のタイ軍事クーデター時に、軍部に対して枢密院が閉会したことが非難の理由として挙げられます。

歴史

1874年、ラーマ5世によって最初の枢密院が創設されました。西洋の教育を受けたラーマ5世は、ヨーロッパの絶対王政を模倣し、2つの評議会を設立しました。一つは「シャム枢密院」で48人で構成され、もう一つは「国家評議会」で12人で構成されました。後に「閣僚評議会」と名称を変更した国家評議会が、内閣の初期の形態となりました。当初、枢密院は法務を処理するために設立されました。

ラーマ5世の息子であるラーマ6世は、1910年に「国家枢密院」を設立し、40人の顧問官を任命しました。ラーマ6世の治世中、ソンクラーン（4月4日）頃に新たな顧問官が任命され続け、1925年のラーマ6世の死去時には、枢密顧問官は233名に達しました。

1925年に即位したラーマ7世は、体制を完全に解体し、3つの評議会を設立しました。一つは「シャム国最高評議会」、二つ目は「大臣評議会」、三つ目が国家枢密院でした。最高評議会がラーマ7世の主要な諮問機関となり、枢密院の役割は重要度の低い法務を扱う機関へと格下げされました。

1932年6月24日、人民党が軍とともに権力を掌握し、絶対王政を廃止しました。同月、国王は「仮の」憲法を承認し、12月には恒久的な憲法を認めました。人民党は最高評議会と枢密院を廃止し、大臣評議会をシャム人民委員会とともに置き換えました。

1947年、シャム憲法が「国家最高評議会」と名称を変更し、ラーマ9世の下で枢密院が再編されるまでの15年間、改革は続きました。この評議会は1947年から1949年まで存続し、5名の顧問官がいました。1949年にタイ王国憲法の下で、評議会は「タイ王国枢密院」と改称されました。現在の枢密院は、2007年憲法によって創設されました。

顧問官

現行憲法では、枢密院は18人を超えない顧問官で構成されると規定されています。顧問官は国王の意思のみで任免されますが、顧問官を任命するには枢密院議長の副署が必要です。顧問官は党派に属してはならず、特定の職務や利益を追求することは禁じられています。顧問官に任命されると、国王の臨席の下で宣誓を行う必要があります。

顧問官は終身制で、勅令によって辞任または解任されることがあります。

議長

タイの枢密院議長は、枢密院の長であり、筆頭顧問官です。国王が議長を任免する権限を持っていますが、他の顧問官の任免とは異なり、議長の任免には国民議会議長の副署が必要です。

機能

2007年憲法は、枢密院に多くの役割と権限を与えており、主に国家元首と国王に関する事項に関連しています。

摂政職

国王が職務を遂行できない場合、摂政を任命できなければ、枢密院は国民議会に適切な王族の名前を伝え、投票によって承認する必要があります。摂政が不在の場合、一時的に枢密院議長が摂政になります。摂政が職務を遂行できない場合も同様に、枢密院議長が一時的にその職務を代行します。

王位継承法

1924年の王位継承法の改正について、国王は枢密院に諮問しなければなりません。国王が承認し署名すると、枢密院議長は国民議会議長に改正への副署を通知します。

空位

王位が空位になった場合、枢密院は王位継承者の名前を内閣と国民議会に伝える必要があります。王位が空位の間、枢密院議長が一時的に摂政になります。

その他の機能

憲法上の機能とは別に、枢密顧問官は王室や王室の事業に関与することができます。また、勅令に基づき、公式儀式に参加したり、国王やチャクリー王朝のために公務を行うこともあります。

2016年現在、ラーマ10世の枢密院は主に退役した軍の幹部や法曹界の出身者で構成されています。

参照項目

現職の枢密顧問官の一覧（英語）
歴史的背景（英語）

外部リンク

タイ枢密院のホームページ（英語）

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