柏原 (幌筵島)

柏原の歴史と現状

柏原（かしわばら）は、千島列島北部の幌筵島（ほろむしろとう、パラムシル島）に位置する地名であり、島の中心的存在です。この地域は、1877年から1945年まで日本の領有下にありましたが、現在はロシア連邦が統治しているため、ロシア名ではセベロクリリスク（Северо-Курильск）として知られています。

歴史的背景

柏原を含む幌筵島は、元々千島アイヌの人たちが住んでいた地域であり、18世紀以降はロシア帝国の影響を受けることになりました。19世紀には、日本の江戸幕府が千島列島に進出しましたが、幌筵島はロシアの支配からは離れず、1855年の日露和親条約によって正式にロシア領とされました。しかし、1877年に結ばれた樺太・千島交換条約により、大日本帝国がこの地域の領有権を獲得しました。

日本政府は、この地域の重要性を認識し、幌筵海峡に面するオットマイ湾を、日本海軍の測量艦「磐城」の艦長であった柏原長繁に因んで柏原湾と改名しました。その後、島の中心集落も柏原という名称が付けられ、北洋漁業が盛んに行われるようになりました。

また、柏原は日本にとって最北端の領土であり、地域に警部補派出所や郵便局（漁繁忙期のみ季節営業）も設置されました。さらに、第二次世界大戦の影響で日本陸軍第91師団の本部が柏原に置かれるなど、軍事的にも重要な拠点となっていました。

行政的には、幌筵島は北海道、特に一時は根室県に属し、千島国や根室支庁の占守郡に編入されました。しかし、町村制は適用されず、地方自治の対象外となっていました。

ソ連による占領

1945年8月18日、ソ連軍が幌筵島に上陸し、全島を占領しました。同年のGHQ指令第677号で日本の行政権が停止されると、ソ連は千島列島全体の領有を宣言し、1947年にはサハリン州の一部として扱われるようになりました。ロシアは柏原をセベロクリリスクに改名し、引き続き島の中心地として位置付けました。

1991年にソ連が崩壊すると、幌筵島はロシア連邦の領域として維持され、現在のセベロクリリスクにはサハリン州北クリル管区の行政機関があります。2002年の住民は2592人と報告されています。

日本と国際関係

日本は1951年に調印されたサンフランシスコ平和条約において、パラムシル島を含む千島列島の領有権を放棄しました。ただし、この平和条約では幌筵島の帰属国は明確にされておらず、その後もソ連との平和条約が結ばれませんでした。その結果、日本政府の公式見解では、幌筵島は未帰属地として位置付けられています。

柏原は過去の歴史を持ち、その変遷から現在の状況に至るまで、国際的な関係の中で重要な役割を果たしてきました。このような背景を持つ地域は、今後も歴史的事実とその解釈において注目され続けるでしょう。

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