桂庵玄樹

桂庵玄樹（けいあん げんじゅ）

生涯

桂庵玄樹は、室町時代後期の臨済宗の僧で、薩南学派の祖として知られています。応永34年（1427年）に長門国赤間関で生まれました。9歳で京都南禅寺に入り、景蒲玄忻の弟子となり、惟正明貞や景召瑞棠、蘭坡景茝らに師事しました。これらの師から、儒学や朱子学、詩文などを学びました。嘉吉2年（1442年）に剃髪し、その後、豊後国万寿寺でさらに学問を深めました。

大内義隆に招かれ、故郷の長門国永福寺の住持となりましたが、1467年には遣明船の士官として明に渡り、蘇州などで朱子学を研究しました。1473年に帰国しましたが、応仁の乱の戦火を避けるため、石見国に避難しました。1478年、島津忠昌に招かれて大隅国正興寺、日向国竜源寺の住持となり、さらに島津忠廉に招かれて薩摩国の桂樹院で朱子学を講じました。

伊地知重貞とともに『大学章句』を刊行（1481年）し、朱子学の普及に尽力したことから、薩南学派の祖として名を成しました。岐陽方秀が施した『四書集註』の訓点を補正し、後に南浦文之が改訂した「文之点」は、近世の四書読解の主流となりました。

その後、建仁寺や南禅寺の住持を務め、1502年には薩摩に東帰庵を建てて移り住み、永正5年（1508年）に82歳で亡くなりました。

学問と思想

桂庵玄樹は、朱子学の普及に大きく貢献した人物です。彼は、日本で初めて朱熹の『四書集註』を講義した岐陽方秀の訓点を補正し、その学問をさらに発展させました。また、漢文直読の重要性を説いた先駆者でもあり、伊藤東涯や荻生徂徠よりも早くからその意義を主張しました。

著書である『桂庵和尚家法和訓』には、「文字読ヲバ無落字様ニ、唐韻ニ読ミ度キ也。其故ハ偶一句半句、ソラニ覚ユル時モ、ヲキ字不知曰其何字也、口惜事」と記されており、漢字を全てそのまま読むべきという考えを示しています。これは、漢文を訓読する際に、置き字などを無視して、原文のまま読むことを重視する立場です。

著作

桂庵玄樹は多くの著作を残しており、代表的なものとして以下が挙げられます。

『家法倭点』
『島陰文集』
* 『島隠漁唱』

まとめ

桂庵玄樹は、室町時代後期の臨済宗の僧であり、薩南学派の祖として、日本の朱子学の発展に大きく貢献しました。また、漢文直読の重要性を説いた先駆者として、後世に大きな影響を与えました。彼の学問と思想は、今日においても重要な研究対象となっています。

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