桜井家

桜井家：尊皇の伝統と華族としての歴史

桜井家（さくらいけ）は、由緒ある公家・華族の家系です。そのルーツは藤原北家水無瀬流に遡り、江戸時代前期、水無瀬兼俊の子である兼里が後水尾天皇の宣旨により分家して桜井家を創設しました。公家としての家格は羽林家、華族としての家格は子爵家でした。

江戸時代の桜井家は、蔵米30俵3人扶持の家禄を有していました。近衛中将を極官とするなど、朝廷において一定の地位を占めていたことがうかがえます。しかし、桜井家の歴史は平穏なだけではなかったようです。江戸時代中期、桜井氏福は、尊皇思想を持つ竹内敬持に師事し、熱烈な尊王論者として活動しました。その活動は、宝暦事件への連座という厳しい弾圧を受ける結果に繋がります。

徳川幕府の崩壊後、明治天皇は氏福の功績を認め、その名誉を回復すると共に、正四位を追贈しました。これは、氏福の尊皇運動が、明治維新という大きな時代の転換点において、大きな役割を果たしたと評価された証と言えるでしょう。

明治維新後の明治2年（1869年）、行政官達によって公家と大名家が統合され、華族制度が誕生します。桜井家も公家として華族に列し、新たな時代の幕開けを迎えました。その後、明治17年（1884年）に施行された華族令により、華族の爵位が五爵制になると、桜井供義が、大納言直任の例がない旧堂上家として子爵に叙せられました。これは、桜井家の高い家格と、その歴史的重みを改めて示す出来事でした。

桜井子爵家の邸宅は、義功の代には千葉県市川市八幡にありました。この地で、桜井家は子爵家としての生活を送り、歴史を積み重ねていったのです。

桜井家の系譜は、複雑な親族関係を反映したものです。実子、養子、婚姻関係など、様々な繋がりが、桜井家の歴史を彩り豊かにしています。その系譜を辿ることで、桜井家の繁栄と変遷を詳細に理解することができるでしょう。

桜井家の歴史は、単なる公家や華族の歴史ではありません。尊皇思想、明治維新、華族制度といった、激動の時代を背景に、独自の道を歩んできた家系の物語です。氏福の尊皇の志、そして子爵家としての地位の確立は、桜井家の歴史における重要な転換点であり、日本の歴史を理解する上で重要な要素の一つとなっています。 関連文献として、浅見雅男『華族誕生 名誉と体面の明治』、小田部雄次『華族 近代日本貴族の虚像と実像』、華族大鑑刊行会『華族大鑑』、そして『平島公方史料集』などが挙げられます。これらの文献は、桜井家の歴史をより深く理解する上で、貴重な情報源となるでしょう。特に平島公方との繋がりは、桜井家の歴史をさらに多角的に理解する上で重要な視点となるでしょう。7代義辰の娘が兼供に嫁ぎ氏敦を生み、8代義宜の娘が氏福に嫁いでいるという関係性は、興味深い家系図上のつながりを示しています。

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