桜島大根

桜島大根

桜島大根は、鹿児島県を代表する特産品であり、世界最大の大きさを誇る大根としてギネスブックにも認定されています。その巨大な姿は圧巻で、重さは通常約6kg、大きなものでは約30kgにも達し、直径も40cmから50cmに及ぶことがあります。かつて桜島の特産品であったことからこの名が付けられ、地元では「島大根」とも呼ばれて親しまれています。

特徴

桜島大根には早生種と晩生種の2種類がありますが、現在栽培されているもののほとんどは晩生種です。種まきは8月下旬から9月上旬に行われ、収穫は12月から2月にかけて行われます。火山灰質の土壌で、手間暇をかけて栽培されることで、大きく育ちます。

味と利用法

一般的な大根と比べると、キメが細かく繊維が少ないため、甘みが強いのが特徴です。そのため、大根おろしなどの生食や、風呂吹きなどの煮物に適しています。また、保存食として切り干し大根や漬物にも利用され、特に千枚漬けは鹿児島県を代表する特産品として、お土産物店などで販売されています。

近年では、健康に良いとされるトリゴネリンが、一般的な青首大根よりも多く含まれていることが、鹿児島大学の研究によって明らかになりました。このことから、漬物以外の加工品開発や製薬会社などからの問い合わせが増加しています。

歴史

桜島大根の起源については、以下の3つの説があります。

愛知県で栽培されていた方領大根を起源とする説
桜島に元々あった野生の大根を起源とする説
霧島市付近で栽培されていた国分大根（浜之市大根）を起源とする説

確かなことは、1804年（文化元年）の薩摩藩の文書に記録されていることから、少なくともそれ以前から栽培されていたということです。かつては桜島北西部が主な産地でしたが、後に桜島北部へと移り、最盛期には約1200戸の農家が合計約200haの面積で栽培していました。稲作に適さない桜島において、桜島大根は貴重な商品作物であり、鹿児島市街地などに出荷されていました。また、収穫期には加治木町（現在の姶良市）で「トイカエ市」と呼ばれる市場が立ち、稲藁などと交換する光景も見られました。

しかし、1914年（大正3年）の大正大噴火により、桜島大根の栽培は大きな被害を受けました。その後、商品価値の高いミカンへの転作が進み、1955年（昭和30年）には栽培面積が約30haまで減少しました。さらに、その頃から2001年（平成13年）にかけて頻発した桜島の噴火による降灰被害などにより、桜島島内の栽培面積は約1.5haまで激減しました。

現在では、桜島島外の鹿児島市郊外や霧島市が主な産地となっていますが、噴火頻度の減少に伴い、桜島島内での栽培面積も回復しつつあります。従来は各農家が個々のこだわりを持って栽培していましたが、連携を深めるため、2019年（令和元年）には鹿児島みらい農業協同組合で桜島大根部会が発足しました。

世界一桜島大根コンテスト

桜島大根の重量や形状を競う「世界一桜島大根コンテスト」が、定期的に鹿児島市主催で開催されています。このコンテストには、桜島に限らず、広く一般からの出品があります。2014年（平成26年）までに14回開催され、その時点での重量部門の大会記録は31.25kgで、神奈川県横須賀市から出品された桜島大根が記録を保持しています。

脚注

注釈

出典

参考文献

今村知子『かごしま文庫51 鹿児島の料理』春苑堂出版 1999年 ISBN 4-915093-58-1
串間俊文『かごしま文庫26 鹿児島の園芸植物』春苑堂出版 1995年 ISBN 4-915093-33-6
橋村健一『かごしま文庫13 桜島大噴火』春苑堂出版 1994年 ISBN 4-915093-19-0

外部リンク

* JA鹿児島みらい

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