桜町(さくらまち)
茨城県土浦
市の中心部に位置する桜町は、同
市の
市街地を構成する重要な地域の一つです。現在の行政区分では桜町一
丁目から四
丁目に分かれています。
土浦駅からもほど近く、利便性の高いエリアです。
地理と周辺環境
桜町は、土浦
市の地理的な中央部に位置しており、その地勢は概ね平坦です。この地域は土浦
市街地の一部として、ビジネスホテルや
旅館、
マンションといった居住施設、
医療機関、様々な種類の商店に加え、大手
企業の支店なども立地しています。周辺は北を大手町、中央一
丁目、川口一
丁目、大和町、東を有明町、南を桜川を挟んで富士崎一
丁目、下高津一
丁目・二
丁目、西を大町に囲まれています。特に南側を流れる桜川は、この町の名前の由来とも関連する重要な河川です。
歴史的な変遷
土浦
市は古くから
土浦城の
城下町として栄え、
江戸時代には現在の
茨城県南部における中心的な都
市としての基盤が築かれました。しかし、現在の桜町にあたる地域は、
明治時代までは
霞ヶ浦に連なる広大な
湿地帯でした。この土地が大きく姿を変えるのは、
1926年(大正15年)の新
市街地造成からです。これは、当時開設された
霞ヶ浦海軍航空隊の隊員向けに、
料亭や料理屋、その他の
飲食店、
カフェなどを一か所に集める目的で行われました。これは海軍の風紀を取り締まるという意図もあったとされています。この大規模な開発において中心的な役割を果たしたのが、
霞ヶ浦湖岸の蓮河原地区の
耕地整理組合長であった久松五右衛門です。彼は海軍航空隊の開隊に合わせて、当時の
土浦町長とともに
耕地整理事業と並行してこの新
市街地の開発を推進しました。『土浦
市史』においても、彼の功績は土浦の発展史上欠かせないものとして高く評価されています。この開発と同時に、
土浦駅から桜橋に至る「八間道路」も整備され、地域の動脈となりました。
桜町の歴史において特筆すべき点として、現在の桜町二
丁目が
北関東有数の
風俗街(
ソープランド街)として知られていることが挙げられます。この
風俗街の起源はさらに古く、
明治時代にまで遡る
花街にあります。かつて中城天満宮の境内で毎年3月に開催されていた駒
市で馬を売却した男性たちが、この場所で得た利益を費やしたという逸話が残されています。
また、桜川の堤に植えられた桜は、
1910年(
明治43年)に行方郡大和村(現在の行方
市)出身の邊田粂蔵氏によって植樹されたものです。現在、この桜並木は土浦
市の桜の名所の一つとして、多くの人々に親しまれています。
現在の桜町一
丁目から四
丁目の町域は、
1972年(昭和47年)11月1日に実施された土浦
市第一次
住居表示整理事業によって、それまでの
大字を持たない旧
土浦町域の一部から新しく成立しました。
近年の桜町は、地域経済と治安の両面で課題に直面しています。2020年(令和2年)11月には、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、接客を伴う
飲食店でクラスターが発生し、多くの店が売上減少に見舞われ、閉店を余儀なくされる事態となりました。さらに、2022年(令和4年)2月には、歓楽街で発生した客同士の口論が暴力事件に発展し、死者が出るという痛ましい事件も発生しており、地域の治安に対する懸念も高まっています。
交通網
桜町は交通の利便性も高い地域です。鉄道に関しては、JR
常磐線土浦駅が最寄り駅となり、多くの地域から徒歩5分圏内に位置しています。
道路については、
市街地の主要幹線道路である
国道125号が町内を通り、桜川に架かる桜川橋で富士崎地区と結ばれています。また、桜町一
丁目の
国道125号交差点は、
茨城県道24号土浦境線の起点となっています。かつて
新交通システムとして計画されながら実現に至らなかった
土浦ニューウェイ(通称:土浦高架道)も現在は一般道として利用されています。特に「きらら通」と呼ばれる通りは、風俗店や
飲食店が多く集まるエリアとして知られています。
路線バスも複数運行されており、
国道125号を経由して
土浦駅と富士崎方面や
市役所・
市南部方面を結ぶ路線や、主要地方道土浦境線上を走行して
土浦駅と
イオンモール土浦、さらには
石下駅や下虫掛方面などを結ぶ路線が桜町を通過しています。
町内の主な施設
町内には様々な施設が点在しています。
桜町一丁目: 東日本銀行土浦支店、桜町1
丁目児童公民館など。
桜町二丁目: 筑波銀行桜町支店(旧称:関東つくば店)、桜町2
丁目公民館など。
桜町三丁目: NTTファシリティーズエンジニアリング中央茨城支店、さくらメディカルビルなど。
桜町四丁目: 朝日生命保険土浦中央営業所、大樹生命土浦ビル、
かんぽ生命保険土浦支店、桜川ポンプ場、土浦
市の
サクラ名所である桜川堤の桜(茨城百景の一つ)、桜町4
丁目児童公民館などがあります。
桜町は、歴史的な変遷を経て、ビジネス、商業、住居、そして特定の性質を持つエリアが共存する、多様な顔を持つ地域と言えるでしょう。