梅北城

梅北城について

梅北城は、宮崎県都城市梅北町に位置する山城で、都城盆地の南部にあります。梅北川と野間川の合流点を見下ろす標高約164メートルのシラス台地の西端に築かれ、その地形を活かした防御性の高い城でした。城跡は、現在、都城市の指定史跡となっています。

歴史

伝承によれば、梅北城は万寿3年（1026年）に平季基によって築かれたとされています。この地域を開発したとされる平季基は、太宰大監という役職にも就いていました。城は「飛永城」「上村城」「中之城」「新城」の4つのエリアに分かれていたと『三国名勝図会』に記されています。

約590年間、南九州の覇権を巡る争いの中で、梅北城は重要な拠点として利用されました。南北朝時代には南朝側の拠点となり、15世紀後半には島津氏の支配下に入りました。その後、15世紀末には新納氏の領有となりました。

1528年には伊東氏の攻撃を受け、新納忠勝は梅北城から出撃し、最初は伊東軍を撃退しました。しかし、その後、北郷忠相と手を組んだ伊東氏に再び攻められ、黒坂で敗北を喫し、梅北城に撤退しました。

天文年間（1532年～1555年）以降は北郷氏の支城となりました。豊臣秀吉の九州征伐後、文禄3年（1594年）に島津家領内で検地が行われると、北郷氏は祁答院へ移され、梅北城は伊集院氏の所領となりました。

慶長4年（1599年）に庄内の乱が勃発すると、梅北城は伊集院忠真が都之城を本拠とする十二外城の一つとして利用され、日置善左衛門、日置覚内、渋谷仲左衛門らが立て籠もりました。しかし、翌慶長5年（1600年）3月10日には降伏開城し、忠真は頴娃へ移されました。その後、都城には旧領主である北郷氏が復帰し、乱は終結しました。

元和元年（1615年）、一国一城令によって梅北城は廃城となり、その歴史に幕を閉じました。

遺構

現在、梅北城にはいくつかの遺構が残っています。

中之城：最も保存状態が良く、北側に土塁を備えており、城内で最も防御機能の高い曲輪と考えられています。
新城：東側の土塁が崩れ、堀が埋め立てられるなど破壊が進んでいます。しかし、残っている土塁の傾斜角度や幅広の上面から、戦国末期から織豊期の改修によるものと推定されています。これは、慶長4年の庄内の乱を契機としたものと考えられます。
上村城：尾根が大きく削平され、遺構はほとんど失われています。

まとめ

梅北城は、11世紀から17世紀初頭まで、南九州の歴史において重要な役割を果たした山城です。築城から廃城まで、多くの武将たちがこの城を巡り、様々なドラマが繰り広げられました。現在も残る遺構は、その歴史を静かに物語っています。

参考文献

山本盛秀編 『三国名勝図会』明治38年。
『都道府県別日本の中世城館調査報告書集成 第20巻 九州地方の中世城館　1　熊本・宮崎』東洋書林、平成14年。ISBN 978-4887214514。
「都城市文化財調査報告書　第140集　【新版】都城市の中世城館　」、都城市教育委員会、2019年3月。
「都城市の文化財」、都城市教育委員会、2014年7月。

関連項目

日本の城一覧
新納忠勝
北郷忠相
* 庄内の乱

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