梵魚寺

梵魚寺（ぼんぎょじ）

梵魚寺は、釜山広域市金井区に構える韓国の著名な仏教寺院であり、大韓仏教曹渓宗の重要な拠点である第14教区本寺です。仏教の伝統や文化が色濃く残るこの地域で、梵魚寺は巡礼者や観光客にとって欠かせない場所となっています。

歴史的背景

梵魚寺の起源は新羅時代の678年にさかのぼります。この時期、海東華厳宗の開祖である義湘大師によって創建され、当時より華厳十刹の一つとして名を馳せていました。しかし、その後の歴史において数回の弾圧や攻撃にさらされることになります。

李氏朝鮮時代の1407年、太宗による仏教の弾圧の中で、梵魚寺は存続を許された88寺院のリストには名を連ねておらず、その後廃寺となりました。さらに、世宗のもとでも1424年の弾圧の際、同様の運命をたどります。1592年には、日明戦争で焼失するも、その後1602年に再建され、再び1613年には修復されました。

寺名の由来については、古文書『東国輿地勝覧』に記載があり、金井山のてっぺんに位置する大きな石とその上の井戸に神秘的な魚が現れる伝説が由来しているとされています。この魚は、梵天の象徴とされ、梵魚寺の名の由来となったのです。

日本統治時代の1911年、梵魚寺は朝鮮三十本山の一つに指定され、1924年以降は特に重要な寺院として位置付けられるようになりました。しかし、2010年には火災によって天王門が全焼するという悲劇も経験しています。

境内の見どころ

梵魚寺の境内には、いくつかの重要な建築物があります。1614年に建立された一柱門は、門の扁額に「禅刹大本山」「曹渓門」「金井山梵魚寺」とそれぞれが書かれており、訪れる人々を迎えます。

天王門には四天王が安置され、持国天や多聞天などがそれぞれ象徴的なアイテムを持ち、守護の役割を果たしています。普済樓や三層石塔も見逃せないポイントであり、これらは統一新羅時代の建築を物語る貴重な存在です。

大雄殿には、釈迦牟尼仏や弥勒菩薩、迦羅菩薩が祀られ、法華経にちなんで大雄という名が付けられています。一方、韓国特有の建物である冥府殿にも地蔵菩薩や閻魔大王が祀られており、不思議な雰囲気を醸し出しています。

他にも、山霊閣での山神の絵画や、観音殿、そして禅文化教育館など多岐にわたる文化財が存在し、訪問者に深い精神的体験をもたらします。また、テンプルステイなどのプログラムも行われており、訪れる人々は仏教文化を実際に感じる機会を得られます。

アクセス情報

梵魚寺へのアクセスは、釜山都市鉄道1号線の老圃駅で下車し、そこからバスで寺院まで行ける便利な路線があります。老圃駅からは約5分の徒歩で山門に到着します。このように、非常に訪れやすい立地にあることも、この寺院の人気の一因となっています。

文化財

梵魚寺はまた、いくつかの大韓民国指定の宝物を所蔵しています。三層石塔（宝物250号）や、大雄殿（宝物434号）、一柱門（宝物1461号）などがその一例です。これらの文化財は、寺院の歴史と伝統を物語る重要な証として保護されています。

梵魚寺は仏教美術、建築、そして精神の深みを感じる場所として、訪れる人々に多くの感動を与える寺院です。

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