植松寿絵

植松寿絵（うえまつ としえ）

静岡県富士宮市出身、O型。日本の元女子プロレスラー。

1995年4月15日、旗揚げ間もない女子プロレス団体GAEA JAPANの後楽園ホール大会で、永島千佳世を相手にデビュー戦を行い、時間切れ引き分けという結果でプロとしての第一歩を踏み出した。GAEA JAPAN解散後、フリーランスの立場で多くの団体に出場。年間100試合以上をこなすなど、多忙なリング生活を送った。そのスタイルは技巧派・職人タイプと評され、安定した試合運びで観客を魅了した。

植松の特徴的なルックスとして、前髪を立てて角のように見せたり、目や口元にペイントを施したりと、個性的で強烈なイメージをリング上で表現した。その一方で、後輩の指導に熱心に取り組む一面も持ち合わせていた。プロレスリングWAVEでは、所属選手のみならず、外部からの練習参加者に対しても独自の指導法で若手育成に力を注いだ。

キャリアを通じて、輝優優とのタッグチーム「植松☆輝」は特筆されるべき存在である。自らを「KING OF TAG TEAM」と称したこのコンビは、JWP認定タッグ王座、デイリースポーツ認定女子タッグ王座、WAVE認定タッグ王座など、数々のタッグベルトを腰に巻いた。特に引退時には、これら3本のタッグタイトルを保持したままリングを去るという、異例の快挙を成し遂げている。男子タッグチームである東京愚連隊（NOSAWA論外・MAZADA組）が保持する女子タッグタイトルに挑戦するという前代未聞のタイトルマッチも行われ、植松☆輝が見事に防衛を果たした歴史もある。

2008年頃からは、表現力を高めるために舞台の世界にも足を踏み入れ、劇団FEVER DRAGON NEOの公演などに複数回出演。女子プロレスをテーマにした作品で実際の選手役を演じるなど、リングとは異なる場でも活動の幅を広げた。師匠と仰ぐ長与千種とも舞台で共演している。

長らくフリーランスとして活躍していたが、引退を約1年後に控えた2011年4月10日、自身の引退発表と同時にプロレスリングWAVEへの入団を発表。引退までの期間をWAVE所属として過ごした。そして2012年4月30日、プロレスリングWAVE後楽園ホール大会で、輝優優と組み、渋谷シュウ・春日萌花組を相手に18年に及ぶ現役生活の締めくくりとなる引退試合を行った。引退セレモニーでは、多くの仲間たちが10カウントゴングを鳴らし、その功績を称えた。

引退後もプロレスとの関わりは続き、2013年のGAMI引退興行や、2014年にはKAORUの復帰戦の相手として一日限定復帰を果たしている。これはKAORUが負傷で引退を決断した際に植松を相手に望んだ経緯や、植松引退時にKAORUの復帰が叶わなかった背景があり、両者の絆によって実現したものであった。2016年には特別レフェリーとしてリングに上がり、お馴染みの顔面ウォッシュを披露する一幕もあった。

リングを離れた現在は、故郷である静岡県富士宮市に戻り、スポーツジムでインストラクターとして体を動かすことの楽しさを伝える活動を行っている。また、地元を拠点とするインディー団体「富士宮プロレス」ではチーフプロデューサーとして団体の運営に携わるなど、プロレスの発展にも貢献している。さらに、静岡で活動するガールズヴォーカルグループ「AstliAs」の応援活動にも積極的に関わっていることを自身のSNSで発信している。

主な得意技には、相手を場外に連れ出し、カウントアウト寸前にリングに戻ることで勝利を得る戦法である「場外リングアウト」、背後からフルネルソンで捉えてブリッジで投げる「ドラゴン・スープレックス」、相手の手首をロックして回転し丸め込む独特なフォール技「ソラリーナ」、コーナーからの「ダイビング・ボディ・プレス」や「コーナーキック（ミサイルキック）」、そして輝優優との連携で、輝の肩に乗って高さを稼ぎボディプレスを放つ合体技「ハイアングル植松」などがある。

プロレスラーとしてのキャリアで獲得したタイトルは多岐にわたり、初代WCW世界女子クルーザー級王座、AAAWタッグ王座、JWP認定タッグ王座、アイアンマンヘビーメタル級王座、HHH王座、WDBタッグ王座、デイリースポーツ認定女子タッグ王座、WAVE認定タッグ王座など、国内外の様々なベルトを戴冠している。

リング外では、テレビドラマに出演するなど、多才な一面も持ち合わせていた。

彼女のリングネームに由来する「卑怯者」というキーワードがブログのタイトルに使われることもあったが、その実態は、どんな状況でも全力を尽くす技巧派・職人レスラーであり、多くのファンや関係者から尊敬を集める存在であった。

主なタイトル歴

初代WCW世界女子クルーザー級王座
AAAWタッグ王座
JWP認定タッグ王座
アイアンマンヘビーメタル級王座
HHH王座
WDBタッグ王座
デイリースポーツ認定女子タッグ王座
WAVE認定タッグ王座

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