植松☆輝

植松☆輝（うえまつ☆らん）

植松☆輝は、女子プロレス界で異彩を放ったタッグチームである。メンバーは植松寿絵と輝優優。両者はそれぞれ異なる団体でキャリアをスタートさせたが、輝がJWPからGAEA JAPANへ移籍したことを機に出会い、意気投合。2003年11月30日、GAEA JAPANのマットで正式にタッグを結成した。

このチームの最大の特色は、その大胆な戦術にあった。試合開始のゴングが鳴ると同時に相手を場外へ連れ出し、「決めるぞ！場外！」という掛け声と共に、リングアウト寸前のカウント19で慌ただしくリングに戻るという、常識破りの戦法を得意とした。この戦術は観客に衝撃を与えつつも、確実に結果に繋がり、2004年にはGAEA JAPANの頂点であるAAAWタッグ王座を獲得。独自のスタイルでベルトを手にすることに成功した。

2度目のAAAWタッグ王座戴冠中に、所属団体であるGAEA JAPANが2005年に解散を迎える。植松☆輝はGAEA JAPAN最後のタッグチャンピオンとして歴史に名を刻んだ後、共にフリーランスとして活動を継続することを決意。活動の場を様々な団体へと広げた。

フリー転向後は、ヒールタッグとして各団体の看板タッグチームと激しい抗争を繰り広げた。OZアカデミーでは植松の同期である加藤園子&永島千佳世組「そんちか」と、輝が古巣へ凱旋する形で参戦したJWPでは春山香代子&倉垣翼組「春倉」や阿部幸江&KAZUKI組「ザ☆WANTED!?」と、そしてNEOではタニー・マウス&宮崎有妃組「NEOマシンガンズ」といった強豪チームと名勝負を展開。それぞれのリングで存在感を示した。

特にJWPマットにおいては目覚ましい活躍を見せた。2006年にJWP認定タッグ王座を初戴冠。このベルトには通算3度にわたり君臨し、当時のJWPタッグ戦線を大いに活性化させた（なお、植松と輝はそれぞれ別のパートナーとも同王座を獲得している）。

2007年に旗揚げされたプロレスリングWAVEへも活動範囲を広げた。2011年に植松がWAVEに正式入団すると、初代WAVE認定タッグ王座決定トーナメント「DUAL SHOCK WAVE 2011」に出場。決勝まで勝ち進むも、華名&栗原あゆみ組「カナアユ」に惜敗。しかし翌2012年2月5日、そのカナアユからWAVEタッグ王座を奪取し、WAVEマットでも頂点に立った。

2012年3月4日には、東京キネマ倶楽部で自主興行を開催し、その集客力と人気を証明した。同年には「JWPタッグリーグ・ザ・ベスト2012」にも参戦。決勝ではライバル「春倉」を破って勝ち上がり、さらに決勝で中森華子&大畠美咲組「ラブドライト」を下し、優勝を飾ると同時にJWP認定タッグ王座（二冠）を獲得。WAVE認定タッグ王座と合わせて三冠王となり、タッグタイトル獲得数はGAEA時代から通算9度を数えた。

しかし、栄光の絶頂期である2012年4月30日、WAVE後楽園ホール大会をもって植松寿絵が現役を引退することを発表。これにより、植松☆輝はJWPとWAVEの両団体でタッグチャンピオンのまま解散を迎えることとなった。保持していた二つのタッグ王座は返上されたが、植松の意向により王座の空白期間は作られず、WAVE王座は暫定王座決定戦でGAMI&中川ともか組に、JWP二冠は王座決定戦で米山香織&さくらえみ組（後のリセット）に引き継がれた。

盟友の引退から約7ヶ月後の同年12月9日、OZアカデミー後楽園大会を最後に、輝優優もまたリングを降り、植松の後を追うように現役生活にピリオドを打った。輝は、もし植松と出会わなければGAEA解散と共に引退していたかもしれないと後に語っており、二人の出会いとタッグ結成が、それぞれのプロレス人生を大きく変えたことを示唆している。

植松☆輝は、型破りな戦術と団体の枠を超えた活躍で、日本の女子プロレス史に確かな足跡を残したタッグチームと言えるだろう。

獲得タイトル

AAAWタッグ王座
JWP認定タッグ王座
デイリースポーツ認定女子タッグ王座
WAVE認定タッグ王座

自主興行

* 植松☆輝自主興行（2012年3月4日、東京キネマ倶楽部）

※ 記載の情報は活動当時のものです。

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