楊国

楊国（生年不詳 - 356年）は、五胡十六国時代に存在した前仇池の第5代君主です。父は第4代君主である楊初。彼の治世は短く、その間に仇池は激動の時代を迎えました。

347年10月、父の楊初が東晋に使者を派遣し、臣下の礼を取ると、楊国は東晋から鎮東将軍・武都郡太守に任じられました。これは、仇池が東晋の勢力下に入ることを意味していました。

しかし、355年1月、楊初の末弟である楊宋奴が、妻の兄弟である梁式王に命じて楊初を殺害するという事件が起こります。この混乱の中、楊国は父の仇を討つべく、側近を率いて梁式王と楊宋奴を討ち、後を継いで仇池の君主となりました。

楊国の即位後、東晋の征西将軍であった桓温は、楊国を鎮北将軍・秦州刺史・平羌校尉に任じるよう朝廷に上表しました。これにより、楊国は東晋から正式にその地位を認められ、重要な軍事・行政的役割を担うことになります。また、楊国の子である楊安も、振威将軍・武都郡太守に任じられました。

しかし、楊国の治世は長くは続きませんでした。356年、楊国の叔父である楊俊に裏切られ、殺害されてしまいます。楊俊はその後、自ら仇池公を称して自立しました。楊国の死後、子の楊安は前秦へ亡命し、そこでその才能を発揮し、数々の武勲を挙げて前秦の軍事の中核を担う存在となりました。

楊国の短い治世は、仇池にとって激動の時代であり、その後の前秦への従属、そして楊安の活躍へと繋がる転換点となりました。

参考文献：
『資治通鑑』巻100
『宋書』氐胡伝

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