楊振寧

楊振寧（Chen-Ning Franklin Yang）

楊振寧（よう しんねい、Chen-Ning Franklin Yang、1922年10月1日 - ）は、中国出身の理論物理学者であり、20世紀後半の物理学に多大な影響を与えた人物です。統計力学、可積分系、ゲージ理論、素粒子物理学、物性物理学など、幅広い分野で顕著な業績を残しています。特に、弱い相互作用におけるパリティ対称性の破れを理論的に予言し、李政道と共に1957年のノーベル物理学賞を受賞したことで世界的に知られています。

生い立ちと教育

楊振寧は、中華民国時代の安徽省合肥市に生まれました。父親は数学者であり、彼の学問的な才能は、幼少期から育まれた環境に影響を受けています。一家は、父親の清華大学への異動に伴い、北京に移住しました。日中戦争の影響で清華大学が昆明に移転し、国立西南連合大学に改称すると、楊振寧もそこに入学。シカゴ大学から派遣された天体物理学者スブラマニアン・チャンドラセカール教授に師事し、李政道とともに学びました。1942年に同大学を卒業後、1944年には物理学の修士号を取得しています。その後、アメリカに渡り、シカゴ大学でエンリコ・フェルミのもとで研究を続けました。

研究活動

1949年から1965年まで、プリンストン高等研究所に所属し、所員、教授として研究活動を行いました。この時期に、コロンビア大学の李政道と共同で、素粒子間の弱い相互作用におけるパリティ非保存の研究に取り組みました。彼らの理論は、パリティ対称性が破れていることを示唆し、呉健雄らの実験によって実証されました。この発見は、物理学の基本概念を大きく変えるものであり、1957年のノーベル物理学賞につながりました。

さらに、楊振寧は、ロバート・ミルズと共に、非アーベル的ゲージ理論であるヤン＝ミルズ理論を構築しました。この理論は、素粒子物理学の標準模型の基礎となる重要な理論であり、現代物理学において欠かせないものとなっています。

その他にも、可解模型や可積分系の分野において、ヤン＝バクスター方程式など、重要な業績を残しています。

その他の活動と逸話

1984年には、復旦大学から名誉博士号を授与されました。また、1953年には国際理論物理学会で来日もしています。

2004年には、54歳年下の大学院生との結婚が大きな話題となり、世間を賑わせました。また、粒子加速器の開発には強く反対する姿勢を示しています。

さらに、「最近の数学書は、読者を拒絶するような難解さがある」と評したり、浙江大学でのインタビューで、「縁故主義の面において、数学界より物理界の方が幾分かマシだ」と発言するなど、独特の視点を持つ人物としても知られています。

受賞歴

楊振寧は、数々の賞を受賞しています。主なものとして、

1957年：ノーベル物理学賞
1980年：ランフォード賞
1986年：アメリカ国家科学賞
1988年：オスカル・クラインメダル
1993年：ベンジャミン・フランクリン・メダル
1994年：バウアー賞
1995年：アルベルト・アインシュタイン・メダル
1996年：ボゴリューボフ賞
1999年：ラース・オンサーガー賞
2001年：キング・ファイサル国際賞科学部門

などが挙げられます。

まとめ

楊振寧は、その卓越した才能と努力によって、物理学の分野に多大な貢献を果たしました。彼の理論は、現代物理学の基礎を形作る重要なものであり、その業績は後世に語り継がれることでしょう。

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