楊盛

楊盛：激動の時代を生き抜いた後仇池の君主

楊盛（ようせい）は、五胡十六国時代の後仇池の第2代君主です。前仇池の第2代君主である楊難敵を曾祖父に持ちます。

周囲との関係

394年10月、初代君主であった従弟の楊定が西秦との戦いで戦死したため、楊盛が後を継いで仇池公となりました。当時の情勢は非常に不安定で、周辺諸国との関係をいかに保つかが、国の存続を左右しました。

楊盛は、その外交手腕をいかんなく発揮します。396年には後秦に服属して仇池公、398年には北魏に服属して仇池王、399年には東晋に服属して平羌校尉・仇池公、404年には東晋から簒奪した楚の桓玄から西戎校尉に任命されるなど、目まぐるしく変わる情勢の中で、巧みに周辺諸国との関係を結びました。

周囲との戦い

しかし、外交だけでは国の安全は守れません。404年から405年にかけては西秦と、同じく405年には後秦と合戦に及びましたが、大敗を喫し、子の楊難当を人質として差し出すことになりました。412年には後秦から離反したため、その攻撃を受けましたが、これを撃退しています。416年には後秦に侵攻し、417年に後秦が東晋によって滅ぼされると、夏と関中の覇権をめぐって衝突しました。

南朝宋への服属と最期

420年に東晋が劉裕によって簒奪され滅亡すると、楊盛は新たに成立した南朝宋に服属し、422年には武都王に封じられました。しかし、年号は東晋の義熙を使い続けました。425年6月、楊盛は波乱の生涯を終え、子の楊玄が跡を継ぎました。

死に際し楊盛は、「私は既に年老いているので晋の臣下のままでいたい。しかし汝（楊玄）は宋の皇帝に仕えるように」と遺言を残しました。

楊盛の時代は、周辺諸国の勢力関係が複雑に絡み合う激動の時代でした。その中で、楊盛は巧みな外交と時には軍事力も駆使して、小国ながらも後仇池を存続させることに成功したのです。



参考文献
* 三崎良章『五胡十六国 中国史上の民族大移動』東方書店、2002年2月

もう一度検索