榊原良行

静岡県浜松市出身の榊原良行（さかきばら よしゆき）氏は、1949年6月13日に生まれ、2023年11月26日に74歳でその生涯を終えました。プロ野球選手として内野手、そして引退後はコーチとして長きにわたり球界に貢献。元バスケットボール女子日本代表主将の榊原紀子氏は娘にあたります。

アマチュア時代、浜松商高校では主将兼遊撃手として1967年夏の甲子園に出場。静岡県予選決勝では清水東高校に辛勝し本大会へ進むも、初戦で土佐高校に延長の末敗れました。中央大学へ進学後、東都大学野球リーグで1970年秋季リーグ優勝を経験。このチームには高校の先輩であるエース杉田久雄投手がいました。1971年春季リーグでは二塁手としてベストナインに選ばれています。

大学卒業後の1972年には社会人野球の日本楽器に入社。同年、投手陣の活躍もあり都市対抗野球大会でチームを初優勝に導きました。日本代表としても活躍し、1972年のアマチュア野球世界選手権や1973年のインターコンチネンタルカップ（優勝に貢献）、アジア野球選手権大会にも選出されています。

1974年のドラフト会議で4位指名を受け、阪神タイガースに入団。1年目の1975年から一軍に定着しました。バットを短く持つ独特の打撃フォームと堅実な守備、正確なバントなど、高い野球技術を武器に、内野の複数のポジションを守れるユーティリティープレーヤーとして重宝されました。特に1977年から4年連続で100試合以上に出場。1978年には遊撃手の定位置を掴み、初めて規定打席に到達（打率.288）。1979年からは二塁手に回り、主に2番打者としてチームのつなぎ役を担いました。1980年からは若手だった岡田彰布氏と二遊間を組み、内野陣を引き締めました。

1981年オフ、大学の先輩である宇田東植投手とのトレードで日本ハムファイターズへ移籍。ここでも主に二塁手として出場しましたが、1984年限りで現役を引退しました。

現役引退後、榊原氏は指導者の道へ進みます。日本ハム（二軍）、古巣の阪神（一軍・二軍）、中日（一軍）と国内球団でコーチを歴任。阪神では基本を重視し、丁寧かつ情熱的な指導で若手の育成に努めました。中日では星野仙一監督に請われて入閣し、1988年のリーグ優勝に貢献しています。

特に台湾プロ野球・兄弟エレファンツでは長期間コーチを務め、チームの3連覇（2001年〜2003年）を支えるなど多大な功績を残しました。指導者としては厳しさと親愛さを使い分け、多くの選手を育成。教え子の中には、リーグを代表する遊撃手に成長した王勝偉氏や、複数回首位打者に輝いた彭政閔氏らがおり、彼らからは「恩師」として深く慕われました。王氏はコロナ禍以前、毎年榊原氏を台湾に招いていたほどです。

その後も京都ファイアーバーズや台湾社会人野球の崇越科技でもコーチを務め、指導者としての情熱を傾け続けました。2023年11月26日、肺炎のため名古屋市内の病院で息を引き取りました。

プロ野球での主な初記録としては、1975年4月6日の対中日戦での初出場、同年4月23日の対ヤクルト戦での初先発出場・初安打、同年5月24日の対ヤクルト戦での初打点、1976年9月16日の対巨人戦での初本塁打があります。背番号は阪神時代が「37」のち「85」、日本ハム時代が「31」、コーチ時代は「76」が中心でした。

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