横浜北トンネル

横浜北トンネル：横浜市最長の道路トンネル

2017年3月18日に開通した首都高速神奈川7号横浜北線は、横浜市の交通ネットワークを大きく変えました。その中心となるのが、横浜市内で最長を誇る横浜北トンネルです。本トンネルは、第三京浜道路と接続する横浜港北ジャンクションから、首都高速横羽線および大黒線と接続する生麦ジャンクションを結ぶ、全長8.2kmの横浜市道高速横浜環状北線の一部を担っています。

壮大なシールド工法

路線延長の約7割にあたる5.9kmがトンネル構造で、外回り（生麦方面行き）と内回り（港北方面行き）の2本のトンネルから構成されています。その大部分は約5.5kmにわたり、シールド工法によって建設されました。これは、民有地の地下に区分地上権を設定して建設された点が大きな特徴です。

大林組、奥村組、西武建設の共同企業体が施工を担当。新横浜出入口付近の発進縦坑からシールドマシンが掘り進められ、外回りは2010年12月発進、2013年10月貫通、内回りは2011年1月発進、2014年3月貫通しました。約140万立方メートルもの残土は、住宅地への影響を軽減するため、鶴見川の対岸までベルトコンベヤーで搬出されました。

安全性と快適性を追求したトンネル構造

シールドトンネルの外径は12.3m、内径は11.5m。2本のトンネルは、約6mの間隔を空けて並行して掘削されました。重量約2000トンのシールドマシンは、最速時には1日に約24mという驚異的な速度で掘り進みました。トンネルの壁面には、耐火性に優れた特殊セグメントが採用され、万が一の火災発生時にも安全性を確保できるよう工夫されています。

円筒形トンネルの上2/3は2車線の車道、下1/3は避難通路として設計されています。車道と避難通路の間には、250m間隔で非常口（すべり台式）が設置されており、停電時にも作動します。さらに、トンネル内にはラジオ再放送設備、火災検知器、消火器・消火栓、非常電話などが設置され、万全の安全対策が施されています。長さ5000mを超える長大トンネルであり、鶴見川を潜る水底トンネルでもあることから、危険物積載車両の通行は規制されています。

工法の工夫とデザイン性

馬場出入口の建設は、住宅街という立地条件から、開削工法によらない特殊な分合流拡幅工法が採用されました。既存のトンネルの一部を取り外し、鋼管製のパイプルーフを打ち込むことで、分岐・合流部の空間が構築されました。トンネルの換気は、車両の走行を利用した縦流換気方式で、火災時には天井のジェットファンが煙の流れを制御します。

新横浜、馬場、子安台の3か所に設置された換気塔は、そのデザイン性の高さからグッドデザイン賞を受賞。さらに、横浜北トンネルを含む横浜北線のトータルデザインは、2018年に土木学会デザイン賞最優秀賞を受賞しました。これらの受賞は、技術的な高度さだけでなく、景観への配慮や安全性の確保に対する取り組みの高さを示しています。

まとめ

横浜北トンネルは、最先端技術と安全対策を駆使して建設された、横浜市を代表する大規模インフラです。その建設過程や技術、そして景観への配慮は、今後の大規模土木工事における新たな指標となるでしょう。

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