樺山忠助

樺山忠助（かばやま ただすけ）

樺山忠助は、戦国時代に活躍した武将です。和歌を嗜み、犬追物においては卓越した技能を持つ人物でした。島津氏に仕え、数々の戦で功績を挙げ、その武勇は広く知られています。

戦歴と武功

天正元年（1573年）、島津氏に降伏した大隅国の禰寝重長が肝付氏に攻められた際、忠助はこれを救うために出陣し、西俣で肝付氏を破るという戦功を挙げました。この戦いを皮切りに、忠助は武将としての才能を遺憾なく発揮していきます。

特に、犬追物においてはその腕前が際立っていました。天正3年（1575年）の犬追物では、射手として11匹もの犬を射抜くという驚異的な記録を打ち立て、それ以降、毎年の犬追物で射手を務めることとなりました。天正4年（1576年）には、琉球からの使者を饗応する犬追物でも射手を務め、その技量を披露しました。犬追物は、武士の鍛錬の一環としてだけでなく、外交の場においても重要な役割を果たしていたことがわかります。

同年、伊東氏の高原城攻めにも出陣し、その武勇を示しました。その後、日向国穆佐（現在の宮崎県宮崎市高岡町）の地頭に任じられます。しかし、耳川の戦いの頃には穆佐を嫡子の規久に譲り、自身は大隅の堅利に住みました。

天正12年（1584年）の岩屋城攻めでは、忠助は激戦の中で大石が兜を砕き、無数の矢傷を負いながらも勇敢に戦い、ついに岩屋城を攻略することに成功しました。しかし、退却中に病を患い、一旦堅利に戻ることとなりました。数ヶ月後には回復し、再び豊後攻めに参加し、武功を挙げました。

人物像と晩年

忠助は、武将としての能力だけでなく、文化的な側面も持ち合わせていました。和歌を愛し、犬追物のような武芸にも精通していたことから、文武両道に秀でた人物であったと考えられます。

慶長14年（1609年）に出水にて病没しました。

島津家との関係

忠助の妹が島津家久の妻であったことから、忠助は家久と行動を共にすることが多くありました。特に戸次川の戦いなど、重要な戦にも参加しています。

また、忠助は『樺山紹劔自記』という記録の中で、「島津義弘が家久の戦功を妬む様は総大将に相応しい振る舞いではない」と述べており、島津四兄弟の間にも確執があったことを示唆する貴重な証言を残しています。この記録は、当時の武将たちの心情や人間関係を知る上で非常に重要な資料となっています。

まとめ

樺山忠助は、戦国時代において武将としてだけでなく、文化人としても活躍した人物です。犬追物での卓越した技術や、数々の戦での武功に加え、島津家内部の不和に関する記録を残したことで、歴史に名を刻んでいます。彼の生涯は、戦国時代の武将の多様な側面を示す一例として、今もなお多くの人々の興味を引いています。

もう一度検索