機動戦士ガンダムの登場人物 ジオン公国軍 (あ行-さ行)

『機動戦士ガンダム』の世界において、地球連邦軍と激しい戦いを繰り広げたジオン公国軍には、多数の個性豊かな人物が登場します。ここでは、その中から特に「あ行」から「さ行」に該当する人物たちに焦点を当て、彼らが物語で果たした役割を紹介します。

赤鼻（アカハナ）

ジオン突撃機動軍の特殊工作員で、爆発物の専門家。その名の通り赤い鼻が特徴です。階級は少尉で、ジャブローへの潜入任務においてはリーダー格を務めました。シャア・アズナブルのズゴックと共にアッガイでジャブローへ潜入し、ホワイトベースの破壊工作を試みますが、連邦軍との交戦の末、テレビ版ではガンダムに、劇場版では61式戦車に撃破され戦死しました。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』など、他のメディアでも異なる描写で登場しています。

アコース

ランバ・ラル隊に所属する少尉のモビルスーツパイロット。テレビ版ではザクIIでラルを援護する場面や、孤立してアムロが駆るガンキャノンと交戦し、弾切れを起こした隙を突かれて撃破される最期が描かれました。『THE ORIGIN』では、別の展開で最期を迎えます。

アサクラ

ジオン公国軍の技術将校で大佐。一年戦争末期には、ギレン・ザビ直轄下で巨大兵器ソーラ・レイの建設と管制責任者を務めました。ギレンの指示に従いソーラ・レイを発射する重要な役割を担います。戦後は責任逃れに奔走し、アクシズへ逃れたとされます。メディアによってデザインや性格描写が異なり、『0083』のCDドラマでは、ギレン派でありながらキシリア配下の部隊に配属されたことへの不満を持つ姿も描かれました。

イリューシン

クラウレ・ハモンによるランバ・ラルの弔い合戦に参加した兵士の一人として名前が挙がります。

イワノフ

マッドアングラー隊の一員で、ジャブロー潜入特殊工作部隊に加わります。シャアとは別の班で行動し、シャアの脱出を援護した後、自身もジャブローからの脱出を図りますが、ガンダムによって撃破され戦死しました。劇場版では赤鼻以外の工作員は生還した模様です。

ウラガン

マ・クベの副官を務めた大柄な軍人。階級は少尉（設定画では中尉）で、長年マ・クベに付き従いました。愚直に任務を遂行するラルを内心で冷笑するなど、独特の価値観を持っています。テキサスコロニーでのマ・クベ戦死後、彼から「良い物」として白磁の壺をキシリアに届けるよう託されますが、その後の戦闘でデラミン艦隊と共に全滅し戦死。壺がキシリアのもとに届くことはありませんでした。劇場版ではマ・クベが戦死しないため彼も生存しており、『THE ORIGIN』では残党組織の指揮官としてアムロ暗殺を試みる後日談が描かれています。

ガデム

百戦錬磨のベテラン士官で大尉（『THE ORIGIN』では少佐）。高齢のため後方の補給部隊にいましたが、ホワイトベースの襲撃を受け、ザクIで出撃。歴戦の技量を見せますが、ガンダムの性能に圧倒され、機体を切断されて戦死します。劇場版では戦死しませんでした。『THE ORIGANDM』ではガンキャノンとの戦闘で最期を迎えるなど、媒体によって描写が異なります。

ガバラ

ガルマ・ザビ配下のザクパイロット。マゼラトップ砲などと連携した集中砲火作戦でガンダムを追い詰めますが、反撃を受け、乗機のザクの頭部を破壊された衝撃でマゼラアタックに倒れ込み爆死しました。劇場版には登場しません。

カラハ

ズゴックを駆るパイロットで、ヒゲ面の豪快な人物。海中戦を得意とし、ハヤトのガンキャノンを圧倒する実力を見せますが、ガンダムとガンタンクの連携攻撃によって機体を真っ二つにされ戦死しました。『THE ORIGIN』ではゴッグパイロットとして登場し、ややお調子者として描かれています。

カヤハワ

コンスコン機動艦隊に所属するリック・ドムパイロット。サイド6パルダ・ベイでの先行偵察任務中にホワイトベースを発見し、コンスコンに報告しました。劇場版でも名前が登場します。

カンプ

偵察機ルッグンに搭乗する兵士。パトロール中にリュウ・ホセイのコア・ファイターと交戦し被弾。前進基地目前で墜落し死亡しました。劇場版で名前が与えられました。

ギーン

ランバ・ラル隊のザクパイロット。コズンとアコースを失ったラル隊に合流し、ラルがホワイトベースへ白兵戦を挑んだ際には、ザクで囮役を務めました。セイラのガンダムと善戦しますが、アムロの機銃に気を取られた隙に頭部を破壊されます。劇場版には登場しません。

キャリオカ

軍曹。ブーンと共にベルデ漁業組合員に変装してホワイトベースに潜入。ジオン訛りを抑えるようブーンに注意されます。任務完了後、ブーンが戦死したため、ホワイトベースから生還した唯一のジオン兵となりました。

ギャル

前線基地所属の若いMSパイロットで軍曹。戦功を焦る気持ちが強く、補給の遅れに不満を漏らします。クワランらの作戦でザクIIを操り、ガンダムを誘き出す囮役を務め、数少ないガンダムとの戦闘から生還したMS乗りです。

ククルス・ドアン

地球の孤島に住むジオン軍の脱走兵。戦闘で親を失った子供たちの世話をしています。所有するザクIIで島に近づく者を排除し、アムロのコア・ファイターを投石で撃墜するなど驚異的な能力を見せます。追手のザクを徒手空拳で撃破するさまは伝説的です。テレビ版の番外編的なエピソードであり、劇場版ではカットされましたが、後に『THE ORIGIN』をベースとした漫画や劇場アニメが制作され、その過去やサザンクロス隊での活躍、家族についてより詳細に描かれています。

クラウン

シャア率いる部隊の一員として、大気圏突入前のホワイトベースを攻撃しました。シャアの撤退勧告を無視して戦闘を続けた結果、コムサイに戻れず、ザクIIと共に大気圏で燃え尽きました。彼の無駄死にとも言える最期は、ガンダムの物語における大気圏突入戦闘を象徴するシーンとなりました。

クラフト

マッドアングラー隊の一員で、ジャブロー潜入特殊工作部隊に参加しました。ジャブローからアッガイで脱出しようとしますが、テレビ版ではガンダムのビームサーベルで撃破され戦死しました。劇場版では生還しています。

クランプ

ランバ・ラル隊の副隊長を務めた中尉。ラルやハモンからの信頼が厚く、ゲリラ戦の専門家です。ホワイトベースへの白兵戦を決行する際には積極的に賛成し、突入作戦でキュイからホワイトベースに取り付きます。その際、ブリッジにいた子供（キッカ）を見て避難を促すなど人間味を見せますが、内部からの銃撃を浴びて戦死しました。『THE ORIGIN』では、開戦前はハモンの店でバーテンダーをしていた過去が描かれています。

クリンク

マ・クベの配下で中尉。グフとドダイYSの連携部隊を率い、マチルダ隊を襲撃します。アムロのコア・ファイターを撃墜しようとした瞬間、カイのガンキャノンによる対空砲撃を受け撃墜され、最期を迎えました。劇場版には登場しません。

クワラン

地球方面軍の独立パトロール隊所属の曹長。若い兵士で、戦功を立てて本国に帰ることを願っています。大胆な強襲作戦を企図し、ワッパでガンダムに時限爆弾を仕掛けますが失敗。作戦後、地元の青年団に変装してアムロたちを激励するという大胆さも見せました。漫画『機動戦士ガンダムU.C.HARD GRAPH 鉄の駻馬』では主人公として描かれています。

ケージ

カンプと共に偵察機ルッグンに搭乗。リュウとの戦闘で被弾し、基地目前で墜落して死亡しました。劇場版で名前が与えられています。

ゲビル

ジオン地球方面軍の戦闘機パイロットで、ガルマ配下のドップ小隊長。第6話で声と名前のみ登場し、その後は登場しません。

コーカ・ラサ

ゴッグパイロットで曹長。ブーンの命令でベルファスト基地を襲撃。ゴッグの重装甲を評価しますが、上陸後ガンダムとの戦闘になり、機体を切り裂かれて戦死しました。テレビ版では単に「ラサ曹長」と呼ばれ、「コーカ」は劇場版で付与された名です。

コズン・グラハム

ランバ・ラル隊の一員で少尉のザクパイロット。戦闘中に機体が転倒し捕虜となり、ジオン兵として初めてホワイトベースに搭乗した人物です。独房でセイラ・マスと対話し、シャアの消息を伝えます。脱走を試み、無線でホワイトベースの情報を送りますが、最期はロケット弾の爆風で死亡しました。『THE ORIGIN』ではルウム戦役への参加や、シャアとのやり取りも描かれています。

ゴダール

ズゴックパイロット。ジャブロー総攻撃に参加し、水中からの攻撃を試みますが、シャアが避けた魚雷の直撃を受け戦死しました。

コノリー

ユーコン潜水艦の副長。民間人に変装してホワイトベースへの潜入工作員であるミハル・ラトキエと接触し、任務の支援を行いました。スパイが少女だったことに驚き、「偉いな」と声をかける人間性も見せます。その後の消息は不明です。

コム

本作には同名の人物が二人登場します。

• - 一人目（5話）：厳つい顔の巨漢兵士。シャア隊の一員としてホワイトベースを攻撃。ガンダムとの戦闘で、ガンダムハンマーの直撃を受け戦死しました。劇場版では戦死描写はカットされていますが、戦死したことが示唆されます。
• - 二人目（8話）：痩せた小柄な兵士。偵察機ルッグンの副操縦士。ホワイトベースから脱出するフラウに頬を赤らめるなど若者らしい一面を見せますが、ルッグンを撃墜され負傷。ペルシア夫人に手当てを受け、原隊に復帰しました。

ゴロ

ファルメルに乗船していた兵士。ドレンと共にコムサイに搭乗し、大気圏突入を行いました。劇場版Iで名前が与えられました。

コワル

ジオン軍の技術将校で少尉。ニュータイプ用兵器ブラウ・ブロの開発者です。試運転中にガンダムと遭遇し戦闘になりますが、機体を撃破され戦死しました。『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』では後に昇進し、別の艦で技術士官として登場しています。

コンスコン

ジオン宇宙攻撃軍の少将で、ドズル・ザビの腹心。キシリアへの反感から、ドズルの命でホワイトベース攻撃の指揮を執ります。サイド6付近で2度にわたりホワイトベースと交戦し、多数のモビルスーツと艦艇を投入しますが、アムロのニュータイプ能力の前に部隊は壊滅。最後は自身が座乗するチベで特攻を試みますが、ガンダムに撃沈され戦死しました。当初は無能な指揮官の典型とされましたが、近年では戦術的には妥当な判断を下していたものの、敵であるアムロたちの成長がそれを上回った結果と評価されています。

サグレド

ランバ・ラル隊の一員。ソドンの町で歩哨を務め、アムロを探していたフラウ・ボゥをラルの元へ連行しました。ラルの指示でフラウを放免しています。

ジーン

デニム隊の伍長（『THE ORIGIN』では兵長）。サイド7偵察でガンダムを最初に視認し、戦功を焦って偵察任務を無視し攻撃を開始。史上初のモビルスーツ同士の戦闘をアムロのガンダムと繰り広げますが、機体を切断され戦死しました。彼の独断専行は、ジオン軍の統率の課題を象徴する場面として挙げられます。小説版や『THE ORIGIN』など、媒体によって設定や最期が異なります。

ジェイキュー

シャア隊のザクパイロット。大気圏突入直前のホワイトベースを攻撃し、ガンダムに接近戦を挑みますが、バルカン砲で撃たれ戦死しました。『THE ORIGIN』では別の名前で登場します。

ジオン・ズム・ダイクン

ジオニズムとニュータイプ論を提唱した思想家であり、サイド3独立運動の指導者。シャアとセイラの実父です。回想シーンにのみ登場し、地球連邦に留まるアースノイドと宇宙移民であるスペースノイドの対立が深まる中で、地球からの自治権獲得を訴え、多くの支持を得ました。スペースノイドから生まれる「ニュータイプ」の存在を予言したことでも知られます。宇宙世紀0068年に“急死”し、その死後ザビ家がジオン公国を樹立しました。彼の死については様々な説があり、特にザビ家による暗殺説が有力視されています。

ジッタル

ズゴックパイロット。ジャブロー総攻撃に参加しましたが、対空砲火を潜り抜けた後、シャアの避けた魚雷の直撃を受け戦死しました。

シムス・アル・バハロフ

ジオン軍の女性技術士官で中尉。ニュータイプ用兵器ブラウ・ブロの開発者であり、そのテストにも立ち会いました。ブラウ・ブロはガンダムとの戦闘で撃破され、彼女も脱出する間もなく戦死しました。結い上げた髪と眼鏡が特徴的です。『THE ORIGIN』では自らブラウ・ブロを駆るニュータイプ部隊長として描かれ、セイラ・マスとの相撃ちで最期を迎えるなど、設定が異なります。

ジョイス

コンスコン隊所属のリック・ドムパイロット。サイド6を出港するホワイトベースへ攻撃を仕掛けましたが、激しい弾幕を受けて機体を直撃され戦死しました。

ジンバ・ラル

ランバ・ラルの父で、ジオン・ズム・ダイクンの側近。ザビ家の政権掌握後、ダイクンの遺児であるシャアとセイラを連れて地球へ逃れ、彼らの保護者となりました。ダイクンの死はザビ家の陰謀によるものだと主張し続けます。テレビ版では温和な人物として描かれますが、小説版や『THE ORIGIN』ではザビ家への復讐心に凝り固まった偏執的な人物として描かれています。『THE ORIGIN』では、キシリアの放った暗殺者によって最期を迎えました。

ステッチ

ランバ・ラル隊の伍長。コズンらの後にザクパイロットとしてラル隊に加わります。ホワイトベース攻撃時には、ザクの脚部ミサイルポッドでガンタンクのキャタピラを破壊する活躍を見せますが、ホワイトベースのエンジンの熱噴射を浴びて戦死しました。

スレンダー

デニム隊の軍曹。ジーン、デニムと共にサイド7偵察に参加し、唯一生還しました（この時点）。シャアの再偵察時には案内人として同行し、ガンダムとの再戦に臨みますが、ビームライフルの直撃を受けて戦死しました。『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』では、ガンダムの鹵獲により生還するという異なる展開が描かれています。

ゼイガン

ランバ・ラル隊の一員。偵察用バイクを駆り、脱走したアムロを探すフラウを追跡してホワイトベースの位置を特定しました。ホワイトベース襲撃前にも偵察任務を行っています。

セシリア・アイリーン

ギレン・ザビの第一秘書を務めた才色兼備の女性士官。小説版が初出で、劇場版にも登場します。その傑出した能力からギレンに抜擢されました。終盤にはニュータイプ的な片鱗も見せます。

ソル

クワラン、ギャルと同じ前線基地に所属する若い兵士で伍長。通信兵を務めています。クワランらのガンダム破壊作戦に参加し、作戦失敗後も地元青年団に変装してアムロたちを激励するなど、大胆な一面を見せました。

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