歌川芳房 (一宝斎)

歌川芳房（うたがわ よしふさ）は、天保8年（1837年）に生まれ、万延元年6月10日（1860年7月27日）に没した、江戸時代末期の浮世絵師です。

生涯

歌川芳房は、人気浮世絵師である歌川国芳の門人でした。通称を大次郎といい、歌川の画姓を称し、一宝斎と号しました。安政の頃から没年にかけて作画しており、武者絵、横浜絵、人情本、合巻などの挿絵を手がけました。24歳という若さで亡くなり、法名は釈速入信士です。没後にも版行された作品がいくつか存在します。

同門の歌川芳富は「国芳死絵」において、師である国芳とともに芳房の姿を描いています。この絵の中には、芳房の没年月日、享年、法名が記されています。

主な作品

歌川芳房の作品には、以下のようなものがあります。

「（七）情図」：大判錦絵2枚続。安政6年（1859年）の作品。ボストン美術館所蔵。
「兄川合戦ノ図」：大判錦絵3枚続。安政6年の作品。ボストン美術館所蔵。
「見立十干之図」：大判錦絵。万延元年の作品。
蘇鉄の木　太田春長
川中の土　山本道鬼
深山の水　佐藤正清
馬印の金　遠受京助
鉄砲の金　須月重行
相図の火　楠正成
壺中の水　千葉田辰家
船中の火　白藤彦七郎
普請の木　此下猿吉郎
小栗栖の土　武智道秀
「魯西亜人」：大判錦絵。万延元年の作品。早稲田大学図書館所蔵。
「暎咭利口人」：大判錦絵。大英博物館所蔵。
「英雄太功記」：大判錦絵。文久2年（1862年）の作品。
伊木半七勝重（静岡県立中央図書館所蔵）
櫻井佐吉吉就
石川浜助貞友

参考文献

日本浮世絵協会編『原色浮世絵大百科事典』(第2巻) 大修館書店、1982年
柏木智雄・内山淳子・片多祐子『はじまりは国芳 江戸スピリットのゆくえ』大修館書店、2012年

関連項目

浮世絵
* 歌川国芳

若くして亡くなった歌川芳房ですが、その作品は現在も美術館などで鑑賞することができます。彼の作品を通して、江戸時代末期の文化や風俗に触れてみてはいかがでしょうか。

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