武田信宗

武田信宗（たけだ のぶむね）は、鎌倉時代に活躍した武将であり、甲斐源氏の第9代当主、武田氏としては6代目の当主にあたります。第8代当主・武田時綱の子として生まれ、母は名越朝時の娘であると伝えられています。彼は、後の第10代当主となる武田信武の父でもあります。

略歴

文永6年（1269年）8月1日に甲府の館で誕生しました。建治3年（1277年）11月11日には、鎌倉において当時の執権であった北条時宗を烏帽子親として元服し、「宗」の字を与えられて信宗と名乗るようになりました。鎌倉幕府の御家人として活動し、北条氏からの信任も厚く、重用されたとされています。

信宗は安芸の守護職を得て、安芸銀山城を築城したと伝えられています。ただし、彼自身が実際に安芸へ赴いたかどうかについては、明確な記録が残っていないため不明です。

元応2年12月11日には出家し、光阿または向阿（いずれも読みは｢こうあ｣）と号しました。そして、元徳2年（1330年）11月9日に生涯を閉じました。

「甲斐信濃源氏綱要」には「勅集作者」と記されており、歌人としても才能を発揮していたことが窺えます。

墓所

信宗が実際に安芸国へ下向したかは定かではありませんが、武田光和の末裔とされる周防武田氏の大正時代の当主・武田甲斐人（呉港高等学校の創始者）が、佐東銀山城から周防源氏武田氏屋敷跡に移設した宝篋印塔が現存しています。これは、信宗と周防武田氏との繋がりを示すものとして、今日に伝えられています。

参考文献

高野賢彦『安芸･若狭 武田一族』新人物往来社、2006年、56-64頁。
「甲斐信濃源氏綱要」（国書刊行会編 『系図綜覧』第一 所収）
* 『系図纂要』（名著出版）

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