武節城

武節城（ぶせつじょう）

武節城は、現在の愛知県豊田市武節町に位置する山城で、別名を地伏城とも呼ばれています。この城は、名倉川沿いの平山に築かれており、その歴史は戦国時代にまで遡ります。現在は豊田市の指定史跡として、その姿を留めています。

築城と変遷

武節城は、永正年間（1504年～1521年）に田峯城を拠点としていた菅沼定信によって築かれたと伝えられています。この地域には、武節城の北約450メートルの場所には、菜倉氏によって築かれたとされる「武節古城」も存在しています。武節城は、築城当初から戦略的に重要な位置を占めていました。

弘治2年（1556年）には、武田信玄の家臣である下条信氏によって攻め込まれました。その後、元亀2年（1571年）に信玄が西上作戦を開始すると、田峯菅沼氏の菅沼定忠は武田氏に降伏し、武節城も武田氏の支配下に入りました。しかし、信玄の死後、田峯菅沼氏が属する山家三方衆は武田氏側と徳川氏側に分裂し、これが天正3年（1575年）の長篠の戦いの一因となりました。

長篠の戦いで武田勝頼が敗れると、彼は徳川氏によって田峯城を追われた菅沼定忠とともにこの武節城に落ち延び、一晩を過ごした後に信濃国へと戻りました。しかし、菅沼定忠も武節城に長く留まることはできず、他の武田氏側の山家三方衆とともに伊那郡へ拠点を移し、反抗を試みましたが、最終的には武田氏と運命を共にしました。

その後の歴史

武田氏滅亡後、この地域は徳川氏についた山家三方衆の一つである奥平氏が支配しました。しかし、天正18年（1590年）の徳川氏の関東地方への移封時、または関ヶ原の戦い後に旧領を回復した奥平氏が慶長6年（1601年）に再度転封された際に、武節城は廃城になったと考えられています。

現在の武節城

現在、武節城はかつての姿を完全に留めていませんが、その跡地は豊田市の史跡として、その歴史を今に伝えています。昭和59年（1984年）3月30日には、武節古城とともに豊田市（旧稲武町）の史跡に指定されました。この城は、戦国時代の激しい戦乱を生き抜いた歴史的な場所であり、多くの人々にその存在を知られています。

まとめ

武節城は、戦国時代の武将たちの興亡と、それに翻弄された人々の歴史を物語る重要な場所です。現在もその史跡は、訪れる人々に歴史の重みを伝えています。

参考文献

• - 岡本柳英「武節城」『愛知百科事典』 中日新聞社 1977年
• - 『日本歴史地名大系 23 愛知県の地名』平凡社 1981年 pp.957

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