武者小路公野

武者小路公野

武者小路公野（むしゃのこうじ きんや）は、元禄元年（1688年）10月3日に生まれ、寛保3年（1743年）12月6日に逝去した、江戸時代中期に活躍した公卿である。彼は、公家の家格において羽林家に列せられる武者小路家の出身であり、父は武者小路実陰。その生涯を通じて朝廷に仕え、順調に昇進の道を歩んだ人物として知られる。

系譜

武者小路家は、藤原北家日野流の流れを汲む公家である。日野家は代々学問をもって朝廷に仕え、その庶流から多くの家が分立した。武者小路家もその一つであり、江戸時代には羽林家の家格を有していた。公野の父である武者小路実陰は、公野と同じく公卿として朝廷に奉仕した人物である。また、公野には武者小路実岳という子がおり、実岳もまた父の跡を継いで公家となった。このように、公野は由緒ある家柄に生まれ、その血筋を次代へと繋いだ。

官歴

武者小路公野の官歴は、以下の通りである。

元禄6年（1693年）：従五位上、侍従に任じられる。
宝永2年（1705年）：正五位下に昇進。
宝永3年（1706年）：右少将に任じられる。
宝永6年（1709年）：従四位下に叙せられ、右中将に任じられる。
正徳3年（1713年）：従四位上に昇進。
享保2年（1717年）：正四位下に昇進。
享保6年（1721年）：従三位に叙せられ、公卿となる。
享保11年（1727年）：正三位に昇進。
享保16年（1731年）：参議に任じられる。
元文元年（1736年）：権中納言に就任。
* 寛保3年（1743年）：従二位に叙せられる。

公野の朝廷での出仕は、まだ幼い元禄6年（1693年）に始まる。この年、彼は従五位上（じゅごいじょう）に叙せられ、朝廷の殿上人（てんじょうびと）となる資格を得た。同時に、天皇の身近に仕える侍従（じじゅう）に任じられている。その後も着実に位階を上げ、宝永2年（1705年）には正五位下（しょうごいげ）に進んだ。翌宝永3年（1706年）には右少将（うしょうしょう）に任じられた。少将は近衛府の武官であり、宮中の警衛や儀式などを司る役職である。宝永6年（1709年）には従四位下（じゅしいげ）に昇り、さらに右中将（うちゅうじょう）に任じられた。中将は少将の上位職である。正徳3年（1713年）には従四位上（じゅしいじょう）に叙せられた。享保2年（1717年）には正四位下（しょうしいげ）に進み、さらに享保6年（1721年）には従三位（じゅさんみ）に叙せられ、ついに公卿の列に加わることとなった。従三位以上の者は「公卿」と呼ばれ、朝廷における地位が一段と高まる。享保11年（1727年）には正三位（しょうさんみ）に昇進。公卿となってからも順調に昇進を重ねた。享保16年（1731年）には、議政官である参議（さんぎ）に任じられた。参議は太政官の重要な役職であり、国政に関与する機会が増える。元文元年（1736年）には権中納言（ごんちゅうなごん）に就任した。中納言は太政官の次官にあたり、朝廷の中枢を担う要職である。そして、公野がその生涯を閉じる直前の寛保3年（1743年）、従二位（じゅにい）に叙せられた。従二位は公卿としても高い位階であり、彼が長年にわたり朝廷に貢献してきた証と言える。このように、武者小路公野は、約50年にわたる官歴において、下級官人から権中納言、そして従二位という高い地位にまで昇り詰めたのである。

まとめ

武者小路公野は、江戸時代中期の朝廷において、武者小路家の一員として重要な地位を占めた公卿である。その官歴は、幼少期からの着実な昇進によって特徴づけられる。具体的な政治的業績に関する詳細は、残された史料からは読み取りにくい部分もあるが、彼が権中納言という要職に就き、従二位にまで叙されたことは、当時の朝廷における彼の存在感を示すものである。彼の生涯は、安定した江戸幕府体制下における公家の生活の一端をうかがわせるものと言えるだろう。

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