歩兵第11連隊

歩兵第11連隊

歩兵第11連隊は、大日本帝国陸軍の連隊の一つであり、その歴史は明治初期から太平洋戦争終結まで、日本の軍事史を色濃く反映しています。

沿革

1875年（明治8年）5月 - 第23大隊を基幹に改編され、その歴史が始まりました。
1875年（明治8年）9月9日 - 軍旗を拝受し、部隊としての格式を確立しました。
1876年（明治9年）10月 - 萩の乱に出動し、国内の動乱鎮圧に投入されました。
1877年（明治10年） - 西南戦争に従軍し、政府軍の一員として戦いました。
1882年（明治15年） - 壬午事変に出動、朝鮮半島における権益を巡る紛争に介入しました。
1894年（明治27年） - 日清戦争に従軍、大陸での戦いに参加しました。
1900年（明治33年） - 北清事変（義和団の乱）に出動、国際的な治安維持活動に加わりました。
1904年（明治37年） - 日露戦争に従軍、満州の地で激戦を繰り広げました。
大正期 - シベリア出兵に従軍、ロシア革命後の混乱期にシベリアへ派遣されました。
1937年（昭和12年） - 日中戦争勃発、北京周辺から万里の長城沿いにかけて作戦を展開しました。
1938年（昭和13年） - 徐州会戦後、周辺の警備を担当。その後、青島へ移動し、広東作戦に参加しました。
1939年（昭和14年） - 魯北地方での治安維持活動に従事。10月からは華南に移動し、南寧攻略を目指しました。
1940年（昭和15年）9月 - 仏印（フランス領インドシナ）に進駐、フランス植民地軍を追撃し、ランソン、ハノイを経てハイフォンへ進軍しました。
1941年（昭和16年） - マレー作戦に参加、マレー半島を占領後、スレンバンに駐屯し、警備任務に当たりました。
1945年（昭和20年）8月 - 転進中に終戦を迎えました。この撤退の過程で、橘丸事件が発生しました。この事件は、病院船である橘丸が軍隊輸送を行っていたという国際法違反行為に加え、航海中に米軍に臨検・拿捕され、連隊の第1・第2大隊がほぼ無傷の状態で捕虜になるという、日本陸軍にとって屈辱的な出来事でした。この責任を取り、上級部隊である第5師団長の山田清一中将と参謀長の浜島厳郎大佐が自決。南方軍総参謀長の沼田多稼蔵、参謀副長（事件当時）の和知鷹二、第2軍司令官の豊嶋房太郎中将らが横浜裁判で有罪判決を受け、刑に服しました。

特筆事項：橘丸事件

橘丸事件は、歩兵第11連隊の歴史において、特筆すべき出来事です。国際法に違反する行為が行われたこと、そしてその結果として多数の兵士が捕虜になったことは、組織としての倫理、国際法への認識、そして戦争における戦略のあり方について、深く考えさせられる事例と言えるでしょう。

参考文献

『日本陸軍連隊総覧 歩兵編(別冊歴史読本)』（新人物往来社、1990年）
原 剛『明治期国土防衛史』（錦正社、2002年）
外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。

関連項目

大日本帝国陸軍連隊一覧
橘丸事件

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