殿ヶ谷戸庭園

殿ヶ谷戸庭園

殿ヶ谷戸庭園は、東京都国分寺市にある都立庭園で、その美しい景観から国の名勝にも指定されています。この庭園は、武蔵野台地の南端に位置し、多摩川の浸食によって形成された段丘の地形を活かした回遊式庭園として知られています。

歴史

国分寺の地

殿ヶ谷戸庭園が位置する国分寺市は、武蔵野台地の南端にあります。この地は、多摩川の浸食によって形成された数段の段丘が特徴で、庭園は崖線と呼ばれる段丘の一部に位置しています。古くから湧水が豊富で、この湧水が谷戸を形成し、庭園の景観を作り上げてきました。この地には、先土器時代から人々が生活していた痕跡があり、縄文時代の遺跡も発見されています。

市街地化と庭園

明治時代以降、この地域は都市化が進み、大正時代には別荘地としての開発が始まりました。実業家たちが広い土地を求め、別荘を建設。その中で、三菱合資会社の江口定條が建てた別邸「随宜園」は、和洋折衷の様式で、庭園には赤坂の庭師・仙石荘太郎が作庭を手掛けました。その後、この土地は岩崎彦彌太の所有となり、「国分寺の家」と名付けられ、庭園はさらに整備されました。

岩崎家の時代

岩崎彦彌太は、この地を別邸として活用し、津田鑿の設計による和洋折衷の回遊式林泉庭園を完成させました。当時の国分寺駅南側は、ほぼ岩崎家の所有地で、駅南口の開設にも岩崎家の陳情が影響したと言われています。庭園の管理は、江口家時代から石川長三郎・宗三親子に引き継がれ、東京都が買収した後も、長らく管理に尽力しました。

都立公園へ

昭和40年代に入り、国分寺駅周辺の開発計画が持ち上がり、庭園の都市計画公園指定が解除されそうになりました。しかし、地域住民や自然保護団体が中心となり、「殿ヶ谷戸公園を守る会」が結成され、庭園の保全を求める運動が展開されました。その結果、東京都は庭園を都立公園として整備することを決定し、現在に至ります。

園内

殿ヶ谷戸庭園は、国分寺崖線と豊富な湧水を利用して造られた、回遊式林泉庭園です。園内には、次郎弁天池を中心に、様々な見どころがあります。

主な見所

次郎弁天池: 崖下からの湧水が流れ込む池で、庭園の中心的な存在です。
紅葉亭: 数寄屋造りの茶室で、紅葉の時期には美しい景色が楽しめます。
鹿おどし: 井戸水を利用した鹿おどしが、和の雰囲気を醸し出しています。
馬頭観音: 古くから地域に伝わる馬頭観音が、静かに佇んでいます。
竹の小径: 孟宗竹の竹林が、庭園のアクセントになっています。
花木園: 四季折々の花が楽しめるエリアです。
藤棚: 春には見事な藤の花が咲き誇ります。
萩のトンネル: 秋には萩の花が咲き、美しいトンネルを作ります。
本館: 岩崎彦彌太の別邸として建てられた洋館で、当時の面影を残しています。

利用情報

開園時間: 午前9時～午後5時（入園は午後4時30分まで）
休園日: 年末年始（12月29日～1月1日）
入園料: 一般150円、65歳以上70円、小学生以下無料
年間パスポート: 一般600円、65歳以上280円
無料公開日: みどりの日（5月4日）、都民の日（10月1日）

庭園内では、無料の庭園ガイドも実施されており、庭園の魅力をより深く知ることができます。

花暦

園内では、四季折々の花を楽しむことができます。

1月: ロウバイ、ツバキ、サザンカ
2月: ツバキ、ウメ、フクジュソウ
3月: ツバキ、フクジュソウ、タマノカンアオイ、カタクリ、キクモモ
4月: タマノカンアオイ、カタクリ、キクモモ、アセビ、シャガ、フジ
5月: フジ、エビネ、サツキ
6月: ホタルブクロ、アジサイ、ヤブカンゾウ、サツキ
7月: アジサイ、ヤブカンゾウ、キンミズヒキ、レンゲショウマ
8月: ヤブカンゾウ、キンミズヒキ、レンゲショウマ、キツネノカミソリ、オミナエシ、ナデシコ
9月: ヒガンバナ、ハギ、ホトトギス、オミナエシ、ナデシコ
10月: ホトトギス、シュウメイギク、シモバシラ、オミナエシ、ナデシコ
11月: ツワブキ、サザンカ、モミジ
12月: ロウバイ、サザンカ、モミジ

交通案内

鉄道: JR中央線、西武国分寺線、西武多摩湖線「国分寺駅」南口から徒歩約2分

まとめ

殿ヶ谷戸庭園は、武蔵野の自然と歴史が調和した、美しい庭園です。四季折々の風景を楽しむことができ、訪れる人々に癒しと安らぎを与えてくれます。

関連情報

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* 三菱グループ

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