毛鋭

毛鋭（生年不詳 - 1523年）は、明代の軍人であり、毛忠の孫にあたります。1469年（成化5年）4月、伏羌伯の爵位を継承し、その生涯は軍人として各地を転戦する波乱に満ちたものでした。

初期の軍歴と昇進

成化年間には、南京の守備を担当し、1488年（弘治元年）1月には平蛮将軍・総兵として湖広へ駐屯しました。翌1489年（弘治2年）10月には、征蛮将軍・総兵官として両広に移駐し、1492年（弘治5年）には古田の瑶族の反乱を鎮圧するなど、軍人としての才能を発揮しました。1496年（弘治9年）には、広西での反乱鎮圧の功績により、歳禄200石が加増され、その地位を確固たるものとしました。

汚職と失態

しかし、毛鋭は私生活では広大な邸宅を建設し、巨大な船舶を私的に建造して海外の商人と通商していたことが発覚し、御史や給事中から弾劾を受けました。しかし、当時の弘治帝によって不問とされました。1500年（弘治13年）12月には太子太保に、1504年（弘治17年）6月には太子太傅に進み、順調な昇進を重ねました。

反乱鎮圧と失脚

1505年（弘治18年）には、思恩府の土司である岑濬の反乱を総督の潘蕃や太監の韋経らとともに鎮圧し、1507年（正徳2年）には賀県の僮族の乱を鎮圧するなど、軍人として活躍しました。しかし、1508年（正徳3年）には、宦官の劉瑾が前兵部尚書の劉大夏を陥れるために田州での一件を失敗として罪に問うと、毛鋭も連座して逮捕され、投獄されました。その後、劉瑾に賄賂を渡して釈放されるという汚職行為も行いました。1509年（正徳4年）10月には、提督漕運に起用されましたが、1510年（正徳5年）に劉瑾が処刑されると、毛鋭は弾劾されて罷免されました。

再起と最期

1511年（正徳6年）には、劉宸らの反乱が北京周辺を騒がせると、毛鋭は宦官の谷大用とともに命を受けてこれを鎮圧にあたりました。しかし、毛鋭が率いた京軍は戦闘に慣れておらず、1512年（正徳7年）1月には長垣で反乱軍に大敗し、自身も負傷して将軍の印を紛失しました。幸いにも許泰の援軍によってどうにか逃れることができましたが、この失態によって御史や給事中たちから弾劾され、北京に召還されました。谷大用と共同での任務であったことから、責任を免れることができました。1521年（正徳16年）に嘉靖帝が即位すると、毛鋭は再び起用され、湖広に駐屯しましたが、1523年（嘉靖2年）に死去しました。死後、太傅の位を追贈され、諡は威襄とされました。

子女

毛鋭には二人の息子がおり、毛江が1524年9月に伏羌伯の爵位を継承しましたが、1533年に湖広に駐屯し、翌年に死去しました。毛漢は1534年5月に伏羌伯の爵位を継承し、南京左府を管掌し、提督操江、総督漕運を歴任しました。

毛鋭は、軍人としての功績と汚職、失態の両面を持つ人物であり、明代の歴史において重要な役割を果たした一人と言えるでしょう。

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