毛忠

毛忠（もう ちゅう）

毛忠（1394年6月21日 - 1468年10月11日）は、明代の武将で、字を允誠といい、元の名は哈喇（カラ）です。彼は西部の少数民族の出身であり、その生涯は数々の戦功と忠誠心によって彩られています。

生い立ちと初期のキャリア

毛忠の曾祖父である哈喇歹（カラダイ）の時代に、一族は武威に移住したとされています。毛忠は兵士としてキャリアをスタートさせ、その才能を発揮して千戸にまで昇進しましたが、戦死してしまいます。その後、祖父の拝都（はいと、後の毛剰）が明に帰順し、蘭州に籍を置きました。拝都は哈密への遠征に従軍し、1376年に戦死しました。父の毛宝は、その勇猛さから総旗となり、1413年には沙州での反乱を鎮圧する功績を挙げ、伍長の位を加えられました。1414年には、永楽帝の漠北遠征に従軍し、昭信校尉・永昌衛百戸となりました。

哈喇（毛忠）は、毛宝と皆氏の間に生まれました。20歳で父の職を継ぎ、優れた身体能力と騎射の腕前を誇りました。永楽帝の漠北遠征には常に同行し、1430年には曲先衛の散即思を討伐して功績を上げ、武毅将軍・永昌副千戸に進みました。1433年8月には、亦不剌山で北元の少尉である蔵布哲伯と知院の奇徹反を捕らえ、武節将軍・永昌正千戸に昇進。1434年7月には、脱歓山に進出し、部長の旺扎勒特穆爾らを捕らえ、宣武将軍・永昌衛指揮僉事となりました。さらに、1435年には三岔河で北元の千戸の図沁を捕らえ、黒山部を討伐してその首長の図羅卜岱を捕らえ、指揮同知に進みました。

軍功と昇進

1437年、哈喇は甘州右衛操備となり、1438年には都督の蔣貴に従って北元のドルジ・ベクを討伐する際、わずか7騎で敵陣を破るという奇功を立て、昭毅将軍・陝西行都司都指揮僉事に抜擢されました。その後も、1442年には沙州を巡視して城堡を修繕し、1444年には迤北の天蒼毛目などの地を巡視しました。1445年には、辺境防備の功績により都指揮同知に進み、このとき初めて毛姓を賜りました。1446年には、総兵官の任礼に従って沙州衛都督の喃哥の部落を収容し、塞内へ移住させました。この功績により都指揮使に進みました。1448年には、罕東へ軍を率いて進み、喃哥の弟で祁王を称する鎖南奔とその部衆を生け捕りにしました。この功績により都督僉事に抜擢され、初めて忠の名を賜りました。

1449年、毛忠は右参将となり、甘粛に駐屯しました。しかし、1450年に礼部侍郎の李実が、毛忠がオイラトと通じていると報告したため、北京に召還される事態となりました。兵部は死刑を求めたものの、景泰帝はこれを許さず、福建での功績を立てることを命じました。毛忠は福建に派遣されましたが、官位は元のままでした。この背景には、毛忠が以前捕らえて英宗に献上したラマ僧、加失領真がオイラトに逃亡し、エセン・ハーンに重用され、毛忠を陥れようとしたことがありました。英宗はオイラトに連行されていたため、このことを知っていました。

復権と晩年

1457年、英宗が復辟すると、毛忠は北京に召還され、福建での功績が評価されて都督同知に抜擢され、左副総兵として甘粛に駐屯しました。1458年には、北方民族の大規模な侵攻に対処し、甘粛巡撫の芮釗が諸将の失態を弾劾した際も、毛忠の功績が罪を償うに十分であるとされ、不問に付されました。1459年には鎮番で敵を破る功績を挙げ、右軍左都督に進みました。1461年には、北元のボライが大規模な侵攻を仕掛けてきましたが、毛忠は昼夜を問わず激戦を繰り広げ、敵軍を退却させました。1463年には、チベット系の諸族が起こした紛争を鎮圧しました。1467年3月には、その功績により伏羌伯に封じられました。

1468年、固原の満四が石城に拠って反乱を起こした際、毛忠は成化帝の命を受けて討伐に向かい、項忠らと共に反乱軍を挟撃しようとしました。毛忠は木頭溝から砲火で山下を直撃し、反乱軍を退却させましたが、その後の戦闘で流れ矢に当たり戦死しました。享年75歳でした。甥の毛海や孫の毛鎧も、毛忠を救おうとして戦死しました。

人物

毛忠は、将軍として規律に厳しく、兵士をよくいたわったとされています。その死後、西辺の人々は彼の死を悼み、葬列に群がったと伝えられています。成化帝は、毛忠の功績を讃え、伏羌侯の位を追贈し、諡号を武勇としました。また、世券を与えられました。孫の毛鋭が、伏羌伯の爵位を継ぎました。

毛忠は、その生涯を通じて、明朝の安定に大きく貢献した武将でした。彼の武勇と忠誠心は、後世に長く語り継がれています。

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