民主主義を今

「民主主義を今」（Demokratie Jetzt, DJ）は、1989年9月12日に東ドイツで結成された反体制的な市民団体であり、政治団体、または社会運動団体として知られています。組織名は「民主主義をいま」、「今すぐ民主主義を」などと訳されることもあります。

DJは、ドイツ社会主義統一党（SED、共産党）による独裁体制への反対を目的として設立されました。しかし、東ドイツの反体制運動を支えていたプロテスタント教会やキリスト教からの強い影響を受け、その綱領は独特なものとなりました。「自由、尊厳、多元主義、法の支配、経済の民主化、そして環境との調和」を重視し、人道的かつ民主主義的な社会主義の維持を主張しました。さらに、西側諸国の消費社会にも批判的な立場を取り、反共主義でありながらも左派的な姿勢を維持した点が特徴です。

1990年、東ドイツで最初で最後となる自由選挙、人民議会選挙が行われました。この選挙において、DJは新フォーラム、平和と人権イニシアティヴと連携し、「同盟90」という選挙連合を結成しました。しかし、東西ドイツ再統一に向けたナショナリズムの高まりの中で、同盟90は2.9％の得票にとどまり、12議席を獲得するにとどまりました。

その後もDJは同盟90の一角として活動を続けました。ドイツ再統一後の1990年12月2日に行われた連邦議会選挙では、再統一の熱狂の中で、同盟90と東ドイツ緑の党が統一リストを組んで選挙に臨みましたが、8名の当選者を出すに留まりました。1991年9月21日、同盟90が政党として組織化された際、DJは解散し、そのメンバーは同盟90に合流しました。さらに、元DJメンバーの多くは、1993年に同盟90／緑の党に参加しました。

DJは短期間の活動でしたが、東ドイツの民主化運動において重要な役割を果たしました。その人道的社会主義の理念は、再統一後のドイツの政治にも一定の影響を与えたと言えるでしょう。

参考文献・外部リンク
平和革命から再統一へ (PDF) .「旧東独社会主義統一党による独裁体制を検証するための連邦基金」主催によるパネル展（協賛：公益ヘルティ財団、後援：ドイツ外務省）
Dokumente zum Thema Demokratie Jetzt
* Chronik der Wende (mit Biographien von DJ-Gründungsmitgliedern)

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